Netflix流リアリティショーはクズ男も主役 片付けのカリスマ「こんまり」番組も制作中

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そんな番組力に引っ張られて、「たとえ生きづらさを感じる世の中であっても、丁寧に生活しよう」と観ている側も思わずにはいられなくなります。教養を養うリアリティショーのニーズは国境を越えて高いことから、Netflixは新たな番組も仕込んでいるところです。その番組プロジェクトの中心人物は「こんまり」こと片付けコンサルタントの近藤麻理恵さんです。

“こんまり流”片付け術を紹介する番組全8話を制作中

Netflixでこんまり番組プロジェクトが進むことになった背景には、こんまりさんが提唱する「こんまりメソッド」が日本だけでなく海外にも支持を広げていることが大きいようです。

こんまりさんの書籍は世界40以上の国で850万部以上販売されています。アメリカで自身の会社も立ち上げて、実践プログラムを学べる活動にも力を入れています。そんなこんまりファンの広がりにハリウッド業界で名を馳せる凄腕女性クリエイター、ゲイル・バーマンさんも注目し、番組のエグゼクティブプロデューサーに名を連ねています。

近藤麻理恵さんはアメリカで「KonMari Media Inc.」を立ち上げ、「こんまりメソッド」を伝える活動にも力を入れている(写真:公式サイトより)

英語表記のタイトルは『Tidying Up with Marie Kondo』。日本語タイトルはまだ明かされていませんが、「“こんまり流”片付け術」といった副題が予想されます。

中身はこんまりさんがアメリカにある実際のお宅に訪問して「こんまりメソッド」を紹介していくもの。どうにもこうにも散らかってしまっているクローゼットが“魔法”をかけられたように整理収納される映像が浮かびます。さらに先の『クィア・アイ』のように住居環境だけでなく、住む人の人生も劇的に変えるような内容も盛り込まれるようです。配信時期についてもまだ明らかになっていませんが、全8話となる見込みです。

Netflixがこだわるリアリティショーのコンセプトは「誰でも楽しめる没入感のあるストーリー」だそうです。こんまりさんの番組もそんな「思わず夢中になってしまう」ような番組を目指していることでしょう。派手なセットや有名タレントのパフォーマンスだけに頼らないものとも受け取れます。今の時代、リアリティショーに限らず、うそ臭くない言葉や姿が詰まったストーリーは支持される必須の条件でもありますから、期待を裏切らない番組がまたひとつ増えることを願います。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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