Netflix流リアリティショーはクズ男も主役 片付けのカリスマ「こんまり」番組も制作中

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要するに、台本がある作り込まれたドラマとはまた違う、台本のないリアルなリアクションを楽しむ番組がリアリティショーです。リアリティショーそのものが海外ではひとつのジャンルとして確立していることもあり、普遍的な人気の恋愛ものだけに限らず、時代や社会背景のマーケットニーズに合わせた“問題解決型”などもあります。

その主役こそ人生に悩む人。Netflixオリジナルの人生改造リアリティショー『クィア・アイ』はそんな番組のひとつで、見た目も中身もイケてない悩める男たちをキラキラ度が高いゲイ5人組があの手この手で生まれ変わらせる様子をみせていきます。

「ブサイク」をボヤく57歳男性をゲイ5人組が大改造

メイクやファッションで大変身させ、ビフォーアフターの違いから「人ってこんなに変われるものなのね」と思わせるだけでも番組は成り立ちますが、Netflix『クィア・アイ』のダメ男の変身ぶりは見た目だけにとどまらないことも人気の理由にあります。

勝ち組と負け組に分かれた社会や、人種や移民、ジェンダー、LGBTに対して根深く残る差別のなかでも、自分らしく生きる術を見つける中身の見直しも重要視しています。

「食生活を見直そう」「部屋を片付けよう」「身だしなみを整えよう」「自信をつけよう」と、それぞれの分野のプロフェッショナルであるゲイ5人組が爽快な言い回しでたたみ掛けていくのです。

問題解決型のリアリティショー『クィア・アイ』にレギュラー出演する“人生改造”請負人メンバーの5人組(写真:Netflix)

たとえば、番組に登場するバツ3で今は独身の57歳の男性は「ブサイクだから恋愛ができない。頑張ってもどうにもならない」と自身に呪いをかけながらボヤき、一日の大半を薄汚れたリクライニングチェアに座りながらタバコを吹かし、テレビを見続けています。そんなクズっぷりを発揮させている男性も大改造プロジェクトによって、1週間後にはいいオンナまで連れ、別人のような笑顔をみせてくれます。

『クィア・アイ』に登場するアメリカ・ジョージア州に住む48歳の男性のビフォーアフター。「お金は妻や子どものために使いたい」と話し、着ている服は穴だらけ、髪はボサボサの状態だった父親が身も心も大変身を遂げる(写真:Netflix)

また料理担当のアントニ、ファッション担当のタン、カルチャー担当のカラモ、インテリア担当のボビー、美容担当のジョナサンの5人それぞれがビジュアル面で申し分のないことに加えて、内面においても共感ポイントを得ることに成功させています。

ゲイという立場で偏見の目にもさらされた辛かった過去なども明かしていくので、「人の嫌なところばかり見るんじゃなくて共通点を探そう」と、悩めるターゲットに投げかける言葉が上っ面に聞こえてきません。

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