世帯年収は「子を持つ意欲」にどう影響するか 全国の25~44歳男女12000人超を対象に調査

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それでは、理想の人数の子どもを持たない理由は何でしょうか?

子どもがいる25~44歳の既婚者のうち、実際に予定している子どもの人数が理想より少ない人に、その理由をたずねたところ、「今以上の生活費や教育にかかる経済的負担に耐えられないから」が男女ともに最も高くなっています。20代後半女性の約9割、30代前半男女の約8割が理想の子どもの人数を持たない理由に経済的負担を挙げています(20代後半男性72.4%・女性87.6%、30代前半男性76.6%・女性78.2%)。

また、出産・子育てに伴う精神的・身体的負担を理由とする30代前半女性の割合が、他の年齢層に比べて高くなっています(33.1%)。

なお、男女ともに年齢層が高いほど、「高年齢で出産するのはいやだから」「年齢的に難しいから」等の年齢要因の割合は高くなります。

夫婦の合計年収額による影響は?

理想の人数の子どもを持たない理由として、経済的負担を挙げる人が多いのが現状ですが、夫婦の経済力は子どもを持つ意欲にどの程度影響しているのでしょうか? そこで、子どもがいない25~44歳の既婚者に、夫婦の合計年収額別に子どもを持つ意欲について聞きました。すると、男女とも年収が高いほうが意欲は高くなっています。

「今すぐにでも子どもが欲しい」と回答した割合は、男性では30代前半が最も高く、夫婦の合計年収額が700万円未満56.6%・700万円以上59.6%といずれも約6割です。しかし、30代後半になると年収額により子どもを持つ意欲に差が開きます。「今すぐにでも子どもが欲しい」割合は、30代後半で700万円未満42.9%・700万円以上55.3%で12.4ポイント差、40代前半では700万円未満20.8%・700万円以上38.5%で17.7ポイント差であり、それぞれ年収が高いほど子どもを持つ意欲も高くなっています。

女性においては、20代後半では700万円未満・700万円以上いずれも約3人に2人が「今すぐにでも子どもが欲しい」と回答しています。しかし、30代前半の「今すぐにでも子どもが欲しい」割合は、700万円未満は59.4%であるのに対し、700万円以上は76.0%と全区分のうち最も高くなっており、16.6ポイントの差があります。

もちろん、子どもを持つ意欲は経済力のみに左右されるわけではないようです。たとえば、年齢に注目すると、700万円以上の男女でも「子どもが欲しい気持ちはある(あった)が、あきらめている」割合は、40代になると急に高くなります(30代後半男性10.6%・40代前半男性33.3%、30代後半女性10.6%・40代前半女性27.3%)。さらに、男女ともに「子どもは欲しくない」の割合は年齢層が高いほど上昇し、特に女性は男性と比べてその傾向は顕著で、夫婦の合計年収額700万円以上でも40代前半女性では約5割と高くなっています。

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