オトコに「生け花」を習わせたい華道界の本音 イケメン華道家グループ設立に透ける危機感
華道人口は1970年前後にピークを迎えた後は徐々に陰りを見せ、現在も減少の一途をたどっている。
文化庁による平成27年度伝統的生活文化実態調査事業報告書によれば、華道界の現状における問題点として、華道に携わる人の高齢化や減少に加えて、関心の希薄化が挙げられている。その要因として、「女性の社会進出により稽古の時間がなくなった」「日本間から洋間が年々増加し、床の間など、花を飾る場所がなくなった」などの居住環境の変化や海外からのフラワーデザインの台頭などが挙げられており、華道をとりまく環境は厳しくなっている。
また華道業界特有の古いしきたりや高価な花代などの費用や不透明な許状申請に対する不信感なども、若い世代を華道から遠ざけているようだ。
そんな中で、イケノボーイズを打ち出した華道界には「女性だけをターゲットにしていられない」という危機感もある。
男性の視点で生け花の魅力を伝えることが目的だ
今年8月、池坊東京会館と京都会館で「夏の男花展 2018」が開催された。この企画は華道家元池坊の男性華道人だけで構成される「夏の男花展運営委員会」によるもの。「俺の生き様!!」という、強烈なテーマをかかげ、男性の視点で生け花の魅力を伝えることが目的だ。
参加したのは、ビジネス界を中心に、さまざまな分野で活躍する首都圏40人、京都30人の男性華道家たち。無論イケノボーイズのメンバーも参加している。国際企業に勤める男性は「生け花は海外の取引先に日本文化を紹介できるコミュニケーションツール」となっているのだという。そんな男花展の会場は、かつての花嫁修業のようなたおやかな華道ではなく、真剣勝負に似た気迫すら感じられる。
生け花と言うと、女性のお稽古事というイメージがあるが、実は華道の起源は僧侶による供花であるといわれている。池坊家元も代々僧侶で男性であることからわかるように、華道の家元には男性が多く、もともと男性がたしなむものだった。中でも戦国時代は、明日死ぬかもしれない命を最大限に美しく見せる「命を生ける」精神修養を目的とした武士に浸透し、江戸時代に隆盛を極めていたという。
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