総合電機業界格付、各社の事業構造の進展や投資戦略によって影響は異なる《スタンダード&プアーズの業界展望》

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事業内容と構造改革への取り組みの違いにより、財務内容はやや格差広がる見通し

財務面では、総合電機5社間で、格差が広がる可能性が高まっている(図表2参照)。三菱電機や富士通は、主力事業における収益やキャッシュフローが比較的安定して推移する一方で、積極的に不採算事業からの撤退を進めていること、巨額の設備投資負担を伴う事業が少ないことから、フリーキャッシュフローが大幅な赤字に陥る懸念も小さいとみている。

一方、東芝はキャシュフロー・カバレッジが低下し、資本・負債構成も悪化する見通しであり、他社に比べて足元の財務悪化懸念が高まっているとみている。主力事業の1つである半導体事業の収益悪化が続く一方で、大規模な投資負担を必要としているためである。財務方針の見直しや一層の不採算事業の削減などが進まなければ、財務内容の悪化傾向は強まる可能性が高いだろう。NECもキャッシュフロー・カバレッジが安定推移する可能性は遠のいたとみている。携帯電話基地局など主力のネットワークシステムの受注の伸びが鈍化していることに加え、収益性の低い携帯電話機事業や半導体事業を抱えているためである。投資計画の一部見直しや不採算事業からの撤退の強化などが必要になってくるだろう。日立製作所は、主力の重電事業や情報通信事業などの収益性が安定している間に、改善が続くHDDの黒字基調の定着や薄型テレビでの営業赤字解消により、当期利益の黒字化が定着し、フリーキャッシュフロー増による有利子負債削減基調に転じることができるか、に注目している。

図表2:キャッシュフローカバレッジの推移

図表3:資本・負債構成の推移

スタンダード&プアーズ(ザ・マグロウヒル・カンパニーズの一部門)より発行 ©2008ザ・マグロウヒル・カンパニーズ
本誌の無断転写・複製を禁じます。ザ・マグロウヒル・カンパニーズ 会長兼社長−ハロルド・W・マグロウIII
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