確定拠出年金の商品減は「大チャンス」かも 手数料が安くて良い商品に乗り換えよう

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③すべて預け替えしなければならないわけではない

あと、これは少しややこしいのですが、実は商品除外に伴う保有残高の取り扱いは除外対象商品が2018年5月1日以前からあったものか、それ以降に新たに商品ラインナップに加わったものかで異なります。前者の場合は商品除外が決まったとしてもその保有残高のすべてを解約しなければならないわけではありません。2018年5月1日以前に購入していた分(つまり4月末時点の残高)については売却する必要はなく、5月1日以降に購入した残高のみ売却しなければならないという取り扱いになります。

しかしながら、除外するというのは比較的手数料率の高いものが多いでしょうから、仮に解約しなくてもいいという場合でも、同じような商品でほかにもっと手数料の安いものがないかどうかはチェックして、預け替えを検討したほうがいいと思われます。

もう一度良い商品かどうかを見直す絶好のチャンスに

④企業型のほうがより注意が必要

現在利用している商品が除外される可能性が高いのは、iDeCoよりも、むしろ企業型のほうです。実は、今まで公表されていなかった企業型の提示商品一覧が2019年7月1日には各金融機関のホームページに公表されることになったため、同じ投資対象・同じ運用手法であるにもかかわらず、高い手数料や明らかに劣る運用成績・利回りの商品をラインナップしている企業については、商品の見直しが促されるのは必至だと思います。

その際には契約金融機関または勤務先の事務局から必ず「案内」があります。自分の大事な老後資産を殖やすための運用商品の話ですので、必ず読んで、自分が行う手続きがあれば面倒くさがらず行うようにしてください。そして、わからないときはコールセンターなり、勤務先の担当窓口に納得するまで聞いたほうがいいでしょう。

商品ラインナップの変更があるとすれば、それを機に除外や追加された商品を含めて自分が選べる商品ラインナップをもう一度眺めて、現在の自分の選択している運用商品とその割合がこのままでよいかぜひ見直ししてみてください。適切なメンテナンスは自分が将来受け取る資産を守り育てることにつながるからです。

大江 加代 確定拠出年金アナリスト

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おおえ かよ / Kayo Oe

大手証券会社に22年勤務、サラリーマンの資産形成にかかわる仕事に一貫して従事。退社後、夫の経済コラムニストである大江英樹氏(株式会社 オフィス・リベルタス 代表)を妻として支える一方、確定拠出年金の専門家としてNPO確定拠出年金教育協会 理事、企業年金連合会 調査役として活動。野菜ソムリエの資格も持つ。

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