北朝鮮人が「ミニスカ」を履くと何が起こるか 戻ってきた戦慄の「ファッション・ポリス」
昨年前半からのことだが、北朝鮮に出掛けた外国人は平壌や他の主要都市で奇妙な光景に出くわすようになっている。しかし、こうした外国人のほとんどは、いったい何が行われているのか、その意味を正しく理解できていないはずだ。
平壌など主要都市の大きな交差点では、ある種の制服に身を包んだ2〜3人組の女性の姿が頻繁に目撃されるようになっている。制服は韓服(ハンボク、日本風にはチマチョゴリ)と呼ばれる韓国の伝統衣装を基本とするが、色調は一般的な伝統衣装とは異なるフォーマルなもので、黒のロングスカートに白のブラウスが組み合わされる。1組につき少なくとも1人はプラスチックでできた中国製の大きな笛を持っており、服装等の規定を記した分厚い規則集を脇に抱えていることも多い。
髪を染めるのは忌まわしき犯罪
このような中年女性の集団は、泣く子も黙る「ファッション・ポリス」のパトロール隊だ。北朝鮮国内では、正式には女性同盟の糾察隊として知られる。
彼女たちの任務は、服装や頭髪を取り締まること。分厚い規則集の規定に違反している者がいれば、その場で制止して尋問する。
禁止事項は多岐にわたる。露出度の高いミニスカートは厳重な取り締まりの対象だ。女性のパンツ(ズボン)着用は最近では許されるようになっているが、ひざ上まで裾をたくし上げることは絶対にあってはならない。とりわけ重大な違反行為が髪の色を変えることだ。北朝鮮では加齢によって白髪になる場合を除いて、全国民の頭髪は愛国的な黒で統一されていなければならない。
規定違反でパトロール隊に捕まった後には制裁が待っている。具体的な罰の内容は、比較的少額の罰金から短期間の拘禁までさまざまだ。
現地に住んでいる知り合いの男性は最近、髪を染めていたことが原因で1日に何度も呼び止められて査問を受けたと文句を言っていた。だが、この若者に関していえば、このような規則違反が大ごとになることはない。「華僑」、すなわち北朝鮮に永住権を持つ中国人だからだ。容姿は北朝鮮人とまったく見分けがつかないし、実際、人生の大半を平壌で生きてきた。しかし、華僑であるかぎりは服装も髪型も好きなようにできる。