北朝鮮人が「ミニスカ」を履くと何が起こるか 戻ってきた戦慄の「ファッション・ポリス」
「反社会主義的活動に対する撲滅運動」は、ここ数カ月間で大幅に強化されたと伝えられている。中国からの密輸品販売といった「不健全」な活動の尻尾をつかもうと、警察、朝鮮労働党幹部、政府職員から成るパトロール隊が街を巡回するようになっているという。
民間が投資している小規模な企業に対して突然、立ち入り検査が行われるだけでなく、民間の起業家が取り調べを受けることさえあるようだ。平壌ではこのところ高級レストランが増えてきているが、こうしたセレブな場所に通う客についても当局は目を光らせ始めている。
富裕層はお金を使うことに慎重
その結果、北朝鮮の新興富裕層は、お金を使うことに対してかなり慎重になっている。富裕層が目立つのを避け始めるようになったのは、7年前に正恩氏が最高権力者になって以来、初めてのことだ。
確かに、服装や頭髪の取り締まりと同じく、「反社会主義的活動」に対する撲滅運動も、それ自体は目新しい動きではない。このような綱紀粛正は1990年代後半に大飢饉が起きた頃から存在する。だが、正恩氏が権力を継承してから、この種のキャンペーンがはられたという話はほとんど聞いたことがなかった(少なくとも最近になるまでは)。
正恩氏の経済・社会政策は、「解放なき改革」とでも呼ぶのがふさわしいものであり、このような風紀取り締まり運動とは本来、相いれないものだ。
なるほど、正恩氏が最高指導者になってからというもの、確かに北朝鮮では政治やイデオロギーの統制が目立って強化されるようになってはいる。正恩氏とその取り巻きは、正恩氏の父・正日氏の治世で緩みが出ていた鎖国政策のテコ入れに精力を傾けている。国民を海外の影響から完全に遮断された状態に置こうとしているのだ。
しかし一方では、正恩氏は北朝鮮の最高指導者としては驚くほど市場経済に前向きなスタンスの持ち主であることもわかっている。個人がお金を稼ぎ、それを自由に消費する自由に正恩氏が制限を加えるようなことは、これまでなかった。