小田急「箱根」集客と混雑緩和、両立への秘策 乗換駅を緩衝地帯に、周遊コース「逆回り」も

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箱根を訪れる観光客に人気の芦ノ湖の海賊船。2019年4月に新型船が就航する予定だ(筆者撮影)

小田急電鉄傘下で箱根エリアの交通機関を運営する小田急箱根グループが8月1日、都内で開いた記者発表会には多くの報道関係者が詰めかけた。打ち出したのは約100億円を投資し、新型観光船の導入や登山電車・ロープウェイの駅舎改修など、大幅なリニューアルを実施する計画だ。2020年開催の東京五輪・パラリンピック後の不透明な経営環境を見据え、今のうちからグループを挙げて一大観光地・箱根の競争力を強化する考えだ。

「ゴールデンコース」を強化

箱根観光には「ゴールデンコース」と呼ばれるモデルコースがある。

新宿駅から特急ロマンスカーで箱根湯本駅の1番ホームに到着すると、向かい側の3番ホームの登山電車に乗り換え、スイッチバックや急カーブを体感しながら強羅駅へ。そこからケーブルカーに乗車し、さらに早雲山駅からロープウェイで大涌谷駅(標高1044m)に向かう。ここで雄大な自然の眺望や名物の「黒たまご」を楽しんだ後は、ロープウェイで今度は芦ノ湖畔の桃源台駅へ下る。最後は展望デッキで風を感じる海賊船――。最近は箱根神社の湖上の鳥居がSNS映えすると人気を集めている。

今回発表した大型投資はまさにこのゴールデンコースをもり立てる内容になっている。

登山電車に新型車両「アレグラ号」を追加投入する。写真は2両固定編成(筆者撮影)

箱根登山鉄道は「アレグラ号」を2019年5月に2両、さらに2020年には2両固定編成を1編成、合計4両を約12.9億円かけて追加導入する。アレグラ号は2014年11月にデビューした新型車両で、デザインはロマンスカー50000形「VSE」や60000形「MSE」と同じく岡部憲明氏が手掛けた。大型窓の近代的な外観が特徴で、従来よりも広い視野の車窓が楽しめる。加えて2000形車両(2両固定2編成)と、ケーブルカーの車両をリニューアルする。老朽化した大平台駅と小涌谷駅の改築も進める。

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