小田急「箱根」集客と混雑緩和、両立への秘策 乗換駅を緩衝地帯に、周遊コース「逆回り」も
小田急電鉄は今年3月17日、長年取り組んできた複々線の完成を受けて抜本的なダイヤ改正を実施した。このとき都心部へ向かう通勤電車の混雑緩和や所要時間の短縮を大々的にPRしたが、箱根観光の利便性も向上させている。
土・休日については、新宿―小田原間の所要時間(最速)をそれまでより5分短い59分と1時間以内にしたほか、新宿―箱根湯本間を9分短縮して最速73分とした。また、箱根湯本発の最終のロマンスカーを22時07分発に繰り下げ、日帰り客の現地での滞在時間を延ばした。
加えて、窓を大型化して眺望を向上させた新型ロマンスカー70000形「GSE」が運行を開始した。10年ぶりとなる新型ロマンスカーの導入とダイヤ改正で、小田原・箱根方面への輸送力が強化され、現地の交通機関を大規模にテコ入れする環境が整った。
混雑緩和へ「逆回り」誘導に注力
しかしながら、便利になった小田急線を使って観光客をどんどん送り込めばよい、というわけにはいかない事情がある。
箱根エリアは日本を代表する観光地だけあって、土・休日だけでなく、最近は平日でも外国人を中心とした観光客が詰めかける。そのため、登山電車やケーブルカー、ロープウェイの駅、さらには観光船の乗り場など、観光ルートの要所ごとに長い行列ができる事態になっている。ゴールデンウイークのほか、仙石原のススキや紅葉が見ごろを迎える秋の行楽シーズンには、乗車待ちの長蛇の列や道路の渋滞が目立つ。
そこで最近、小田急箱根グループが力を入れているのが観光客を「逆ゴールデンコース」へ誘導する作戦だ。
箱根登山バスは3月17日の小田急電鉄のダイヤ改正に合わせ、これまでは土・休日のみ1日3便の運行だった箱根湯本駅から芦ノ湖エリアへの急行バスを平日は10便、土・休日は8便増やして11本設定した。
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