小田急、「新宿-小田原60分切り」苦労の道筋 運転車両部長に直撃取材、GSE開発秘話も
小田急電鉄は構想から半世紀、着工から30年の歳月をかけた複々線化が完成、所要時間短縮など快適な輸送サービスを実現するダイヤ改正を2018年3月に実施した。このダイヤ改正で新鋭ロマンスカーGSE車が運転開始したほか、同社にとって60年来の悲願であった新宿―小田原間59分運転が実現するなど、2018年の小田急は話題に事欠かない。小田急電鉄運転車両部の田島寛之部長に、最近の話題を中心に話を聞いた。
複々線化完成に伴うダイヤ改正後の状況
――ダイヤ改正後のピーク時の混雑率はいかがですか。
当社は通勤時間帯の混雑率が192%(2016年度実績)と高く、お客様から「遅れる、遅い、混んでいる」とお叱りをいただいていました。複々線完成に伴うダイヤ改正で、何とか快適通勤をご提供したい思いがあり、朝のピーク時の運転本数を27本から36本に増発したのです。まだ正式なデータは出ていませんが、われわれ担当部門が見る限りでは、下北沢のピーク時間帯で平均混雑率150%程度には落ち着いていると感じています。
――劇的と言ってよい改善ですね。
ただ速達列車に対するご評価がわれわれの想定以上に高く、快速急行にお客様が集中する傾向にあります。このダイヤ改正で快速急行停車駅に登戸を追加し、向ヶ丘遊園や南武線からの乗り換えが便利になったこともありますが、町田―新宿間を最大12分短縮したことが相当効いていると感じています。その一方で、各停タイプの混雑率は大幅に緩和できたので、全体を平均すると150%程度に下がったということです。
――確かに朝の12分は貴重ですから。
新宿に早く着けるようになったので、我慢して乗っていこうというお客様が多いようです。現在は混雑している快速急行を避けてくださいと「分散乗車」のお願いなどの取り組みを行っています。通勤のお客様はご自分の生活パターンを考えてご乗車の列車・時刻やご乗車位置を選ばれているようで、いったん決めるとなかなか動いていただけませんが、お客様にどう知っていただくか、運行管理する側としてアプローチをかけているところです。
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