小田急、「新宿-小田原60分切り」苦労の道筋

運転車両部長に直撃取材、GSE開発秘話も

GSEの展望席(撮影:梅谷秀司)

――先ほどの話で「遅れる」がありましたが、ダイヤ改正で定時性は高まったのですか。

混雑が緩和されたこともあって、定時運転できるようになりました。それと副次的な効果として、いままでは混雑している列車内で体調を崩されるお客様の応急処置や対応で数分停まってしまって遅延が拡大し、場合によってはダイヤが終日乱れてしまうことがありました。複々線効果といいますか、ダイヤ改正後はお客様を救護する件数が確実に減っていると感じています。当社は「体調を崩されたお客様は、無理をなさらず駅係員にお申し出ください」と車掌がアナウンスするようにしていますが、ダイヤ改正後は救護件数が減っているので、一定の効果が出ていると感じています。

――混雑緩和や定時性が高まったことで、精神的にリラックスできるようになったことも大きいのですか。

下北沢まではほぼ定時で運転できるようになりましたが、千代田線直通列車の遅れがやや顕在化するようになりました。代々木上原で折り返し運転する列車の間に直通列車が入りますから、わずかなタイミングを逸すると代々木上原のホームに入れなくて遅延が発生することがあるのです。これは課題として認識し、東京メトロさんと密接に連携しながら改善を図って、定時性をさらに高めていきたいと考えています。

――代々木上原の千代田線綾瀬方面のホームは1線しかなく、朝の通勤時間帯は上原始発と小田急直通がほぼ交互に運転されているので、容量的には苦しいと思います。

そうは言っても、格段に定時性は上がりました。昔は2~3分遅れると列車が「団子状態」になって、ダイヤに影響が出ましたが、現在はその程度の遅れは吸収できる余力をもっているので、複々線化したのが相当強いということがわかります。複々線化工事が始まったのは1989年ですから、大多数の社員は工事が始まってからの入社です。そう考えると諸先輩がよく考えてジャッジされた、われわれはその財産をいただいたのですから、その価値を活かしてダイヤを組んだつもりです。

悲願だった新宿―小田原間59分運転

――このダイヤ改正では、もう一つの悲願でもあったロマンスカーの新宿―小田原間59分運転が実現しました。

1957年に運転を開始したSE車の時代からの夢だったので、正直いろいろな議論をしました。このダイヤ改正でGSE車も導入したので、ロマンスカーの価値や速達性のイメージ向上も考えて59分運転を実現しました。いままで60分を切れなかったのは車両性能の制約ということでは決してありません。最高時速145kmをマークしたSE車だけでなく、すべてのロマンスカーは高速性能も加減速性能も十分な余裕をもっていますが、その力を出す場がなかったのはダイヤに問題があったわけで、そういう意味では複々線化で一番本数の多い区間の線路容量が増え、先行列車に制約されずに60分を切ることができたのは事実です。

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