成田エクスプレスは御殿場線に乗り入れるか 地元では小田急線一般列車乗り入れの要望も
「ほかの地域に住む友達よりも、本厚木を早く出発しなければ、終電に間に合わず不便だ」
御殿場線沿線の学生から共通して聞かされるのは、不自由な学生生活の実態である。たとえば、JR東海道本線熱海駅まで帰宅する場合なら、小田急線本厚木駅23時27分発の急行小田原行きに乗れば、小田原駅0時19分発の普通熱海行き最終列車に間に合う。
だが、御殿場線の御殿場行き終電が、小田急線との乗換駅である松田駅を出発する時刻は23時09分である。この最終列車に間に合うためには、本厚木駅22時28分発の急行小田原行きが最終となる。約1時間も差があるのだ。御殿場線の本数の少なさが学生生活を制約している現状がある。
御殿場線の利便性向上は難しいのだろうか。同線の歴史と現在の状況を見たうえで、利便性向上策を考えてみたい。
かつては東海道線の一部だった
御殿場線は、国府津駅(神奈川県小田原市)―御殿場駅(静岡県御殿場市)―沼津駅(静岡県沼津市)間60.2 kmを結ぶ東海旅客鉄道(JR東海)の幹線である。全線単線電化で、起終点を含め19駅を有する。松田駅(神奈川県松田町)―御殿場駅間では、小田急小田原線新宿駅発着の特急「あさぎり」の定期列車が1日3往復運行されているが、日中は短い編成の列車が1時間に1本程度走るローカル線である。
しかし、当初は東京と神戸を結ぶ東海道本線の一部として建設・開業した歴史がある。御殿場線利活用推進協議会が設置しているホームページ「ごてんばせんネット」には、「御殿場線は明治の鉄道創生期に東海道本線(筆者注:開通当初の路線名称は『東海道線』)として誕生し、その後の日本の歴史とともにいくつもの変遷を経て現在に至っています」と記されている。
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