成田エクスプレスは御殿場線に乗り入れるか 地元では小田急線一般列車乗り入れの要望も
御殿場までの乗り入れに戻った「あさぎり」は、運転区間短縮と平日の本数25%削減が実施された初めての年度である2012年度の乗車人員が55万1362人(内御殿場線区間までの乗車人員17万3761人)と、前年度の乗車人員68万7958人(内御殿場線区間までの乗車人員25万5144人)と比べて、全乗車人員ベースでマイナス20%、御殿場線区間までの乗車人員ベースではマイナス32%の大幅減となった。その後は概ね横ばいで推移している(以上、御殿場市資料より)。
「あさぎり」運転区間短縮のダイヤ改正と同日には、山北駅(神奈川県山北町)と駿河小山駅(静岡県小山町)の無人化、夕方に1本だけ残存していた東海道本線東京駅発山北行きの直通列車の廃止も実施された。
山北駅は現在、一部時間帯に山北町によるきっぷ発売を行う簡易委託駅となっている。同町企画政策課企画班の担当者は、「JR東海から駅の無人化の話があり、町としては乗客の利便性などのために切符販売を始めた。山北駅のきっぷ発売については、委託先のNPO法人に年間約200万円を支払っている」と説明する。
アウトレットで集客を
一方、2013年6月に富士山が世界文化遺産に登録されたことが御殿場線の利用促進に寄与しているとの見方を示すのが、静岡県御殿場市である。御殿場市企画部未来プロジェクト課の担当者は、「JR御殿場線の御殿場市内3駅(御殿場駅、南御殿場駅、富士岡駅)の乗車人員は近年、増加傾向で推移している。富士山が世界文化遺産に登録されたことが寄与していると考えている」と説明する。
実際、2015年度の御殿場市内の3駅の乗車人員は、2013年度比プラス7.4%となっている。また、「御殿場プレミアム・アウトレット」も、御殿場線の利用促進に一定程度寄与しているものと思われる。
しかし、同アウトレットは御殿場駅から3キロほど離れた場所に立地し、無料シャトルバスで往来する必要があるため、公共交通としては、東京都内および神奈川県内主要地区などと同アウトレットを結ぶ直行バスが支持を集めているのが現状である。
だが、2016年9月7日には、小田急電鉄が同アウトレットの第4期増設計画に合わせて「小田急御殿場ホテル」および日帰り温泉施設「小田急御殿場温泉」(いずれも仮称)の建設を発表しており、さらに集客力が増すことが予想される。この機会をとらえて、「御殿場市地域公共交通網形成計画」にも記載があるアウトレットそばの新駅設置など、同線の利便性向上策を打ち出すことが重要ではないだろうか。
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