「運賃高すぎ」北総線の値下げは可能なのか 地元による安価な並行バス路線が好調
運賃が高額なことで知られる北総鉄道北総線。同線に頼らない交通機関として、路線バスの運行が拡大している。
「住民のニーズをつかんだバス事業者が、地域への貢献と利便性向上のためにバスを走らせる。これこそがまさにコミュニティビジネスだ」。今年7月、千葉ニュータウンを走る路線バス「生活バスちばにう」(以下「ちばにう」)の新ルート開業を祝う出発式で、瀧田敏幸千葉県議はこのように述べ、「ちばにう」をたたえた。
「ちばにう」は、北総鉄道北総線に並行する新鎌ヶ谷駅―千葉ニュータウン中央駅間などを運行する路線バスである。現在は両駅間を結ぶ2つのルートと千葉ニュータウン中央駅を拠点とする循環線の計3路線があり、両駅間をノンストップで結ぶ直行便の所要時間は25分、運賃は300円である。一方、北総線は同区間を普通列車で11分、アクセス特急(特急料金不要)6分で結び、運賃は570円である(いずれも現金運賃。以下同じ)。
北総線より安い路線バス
「ちばにう」は新鎌ヶ谷駅で、運賃が安価な東武野田線・新京成線と接続しており、柏・船橋・松戸・津田沼経由で、千葉ニュータウン中央駅と東京都心や千葉市中心部などとの間を安価に移動することができる。
たとえば、千葉ニュータウン中央駅―水道橋駅では、北総線・都営浅草線浅草橋・JR総武線経由は1230円・所要時間約60分であるのに対して、「ちばにう」・東武野田線船橋・JR総武線経由は約90分かかるが運賃は890円と、北総線経由より340円も安い。
「ちばにう」は、運賃が高額な北総線に頼らない新たな交通機関を望む沿線住民と、意欲あるバス事業者が協力して生み出された路線バスである。だが、そもそも北総線の運賃はなぜ高額なのだろうか。この点を理解するために、北総線の沿革と運賃問題の経緯を見てみよう。
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