「運賃高すぎ」北総線の値下げは可能なのか 地元による安価な並行バス路線が好調
北総鉄道は、京成高砂駅―印旛日本医大駅間32.3kmを結ぶ北総線を運営する鉄道事業者で、京成電鉄が株式の50%を保有する京成電鉄の子会社。1979年3月9日北総線(第1期)北初富駅―小室駅間7.9kmが開業し、当初は新京成線と相互直通運転を行っていた。その後、1991年3月31日の北総線(第2期線)京成高砂駅―新鎌ヶ谷駅間開業と同時に京成線、都営浅草線、京急線との直通運転が開始された。これにより、千葉ニュータウンと東京都心が直行ルートで結ばれることとなった。
一方、小室駅以東の区間の建設は住宅・都市整備公団により進められ、2000年7月22日までに印旛日本医大駅までの区間が開業した。2004年7月1日には、京成電鉄の完全子会社である千葉ニュータウン鉄道が小室駅―印旛日本医大駅間の鉄道施設を同公団の後継事業体である都市基盤整備公団より譲り受けて保有主体となり、北総鉄道が同区間の施設を借り受けて列車を運行している。
京王なら130円の距離が310円
北総鉄道は第2期線建設などで負うこととなった巨額債務の返済と、また当初34万人を見込んでいた千葉ニュータウンの人口目標未達成による利用低迷などを背景として、運賃値上げを数次にわたって実施した。
しかし、同社の2016年度決算では、営業収益168億1600万円に対して、営業利益47億1800万円、当期純利益28億1100万円を計上した。同社は「ニュータウンエリアの入居増もあり増収・増益、輸送人員は3741万4000人と対前年比1.8%増」と好調であったことを明らかにしたが、その一方で「有利子負債は768億円を超え、累積赤字も121億円と依然として巨額」であるとして、厳しい経営状況に変わりはないとの認識を示している(以上、同社『2016年度決算について』より)。
北総鉄道は、繰越損失と多額の有利子負債を抱えていること、少子高齢化に伴う将来的な沿線人口や生産年齢人口の減少見通しを、運賃値下げが困難である理由に挙げている。
それでは、北総線の運賃はどれほど高額なのだろうか。たとえば、新鎌ヶ谷駅―西白井駅の1駅区間3.1kmの運賃は310円であるが、他の鉄道会社では同じ距離で京王電鉄が130円、西武鉄道150円、京成電鉄本線160円、JR本州3社(幹線)190円、首都圏新都市鉄道(つくばエクスプレス)210円、埼玉高速鉄道270円、東葉高速鉄道290円などとなっており、北総鉄道の運賃は他鉄道と比較して高額であることがわかる。
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