小田急「箱根」集客と混雑緩和、両立への秘策 乗換駅を緩衝地帯に、周遊コース「逆回り」も

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ケーブルカーとロープウェイの結節点として強化する早雲山新駅舎のイメージ(画像:小田急箱根ホールディングス)

今回発表した大型投資にはケーブルカーとロープウェイの乗換駅である早雲山の駅舎改築が含まれる。現状は混雑時には外にまでロープウェイを待つ行列ができるが、新駅舎には明星ヶ岳や相模湾が眺められるテラスを設置。足湯も楽しめるようにしてケーブルカーとロープウェイの定員の差で生まれる混雑を和らげる。

さらには、ロープウェイの新型ゴンドラ導入に合わせて実施する乗り場の改修で、輸送力を現在の1時間当たり1000人から1400人へ増やす予定だ。

残る課題は西武系との連携?

芦ノ湖畔の商業施設「茶屋本陣 畔屋(ほとりや)」。和風の建物内にはカフェや土産物店がある(筆者撮影)

これまでも同社グループは、緩衝地帯の確保につながるような取り組みをしてきている。2016年1月には芦ノ湖畔に商業施設「茶屋本陣 畔屋(ほとりや)」をオープンさせた。海賊船が発着する「箱根町港」と箱根登山バスの停留所「箱根町」をつなぐターミナルの役割を持たせた施設だ。

和のテイストで仕上げた建物には芦ノ湖と富士山を望むカフェのほか「鈴廣かまぼこ」や酒盗などの「しいの食品」といった小田原の老舗が出店。乗り物の待ち時間を土産の買い物に充てることができるように整備した。観光客の時間の使い方を多様化させる施策は、混雑緩和に一定の効果を上げそうだ。

一方、まだまだ課題は残されている。箱根を訪れたことのある観光客にとって不評なのが、箱根フリーパスで西武グループの伊豆箱根バスに乗れない、といったソフト面での不便さだ。

五十嵐社長は西武グループとの連携についての質問に「わかりやすくすることが大事。一緒になって盛り上げようと取り組んでいる」と述べた。ハード・ソフト両面で利便性を向上させることが、箱根観光のさらなる発展には欠かせない。

橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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