小田急「箱根」集客と混雑緩和、両立への秘策 乗換駅を緩衝地帯に、周遊コース「逆回り」も

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急行バスは箱根湯本駅から箱根町港まで、箱根新道をノンストップで走り、所要時間は約22分。午前中であれば、それほど渋滞や混雑に巻き込まれることなく、箱根関所跡や箱根神社などの名所がある芦ノ湖周辺の観光を楽しむことができる。山の天気は午後になって雲が発生しやすい傾向があるため「午前中ならば芦ノ湖の奥の富士山がきれいに望めるチャンスが多い」(箱根に詳しい小田急関係者)という。

土・休日のみ1便だった芦ノ湖から強羅へのバスは毎日6便に変更した(筆者撮影)

また、土・休日のみ1日1便だった箱根町港・元箱根港から強羅駅へ向かうバスを毎日、午後に6便運行するようにした。これによって強羅駅で登山電車に乗り換え、箱根湯本に下りやすくなった。箱根湯本駅までのバスが途中で渋滞に巻き込まれ、予約した帰りのロマンスカーに間に合うかどうか、と観光客が気をもむことも減りそうだ。

さらには箱根観光の玄関口である箱根湯本にさえ立ち寄らないルートへ観光客を誘導しようとする施策も始めた。強羅エリアと、外国人に人気の「御殿場プレミアム・アウトレット」(静岡県御殿場市)を結ぶバスを国道138号経由のルートに統一することで、従来60~70分かかっていた所要時間を25分も短縮した。

アウトレットの増設エリアには2019年冬の開業を目指してホテルと日帰り温泉施設を建設しており、箱根や御殿場、さらには三島までの広域的な観光客の誘致を目指す考えだ。これまでのゴールデンコースをたどる型にはまった移動から、観光客がそれぞれの好みやスタイルに応じた旅ができるよう選択肢を増やすことで、混雑の分散を図る狙いがある。

乗換駅に「緩衝地帯」

混雑の緩和に向けた取り組みはもうひとつある。

小田急箱根ホールディングス(HD)の五十嵐秀社長は記者発表会で、乗換駅などの結節点となる場所について「バッファゾーン(緩衝地帯)にして、増えるお客様に対応していきたい」と強調した。乗り物を乗り継ぐだけの場所でなく、観光客がゆっくりと時間を過ごす施設に再整備して混雑が集中するのを避ける。

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