不安感が強い人が「筋トレ」に挑むべき理由 うつの予防や治療には筋トレが効く?

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研究チームは、筋トレとうつに関係した先行論文の優れたものをすべて集めた。ただしその中でも、彼らのお眼鏡にかなったのはランダム化比較試験のみ。つまり一部の被験者だけに運動をさせ、残りの人たちにはさせなかった実験だ。これは運動などの介入の効果を測るための重要な指標となる。

また、運動を始める前と続けた後でうつの検査を行っているものでなければならなかった。

トレーニングの量は問題ではない

研究チームは最終的に、条件に合う33件の実験を見つけた。被験者は合わせて約2000人の男女で、年齢はさまざま、うつ病の診断を受けている人もいればそうでない人もいた。

33件の結果をまとめ、データを分析したところ、筋トレにはほぼ例外なく、うつの症状を軽減する効果が見られた。それは実験開始時点で正式にうつ病の診断を受けていたかどうかとは関係なかった。言い換えると、当初からうつを抱えていた人がウエイトトレーニングをすると気分が上向くということであり、精神的に健康だった人であれば心が落ち込む可能性が低くなるということだ。

最も興味深いと言えるのが、トレーニング量の多寡はどうでもいいらしいという点だ。ジムに行くのが週に2日であろうが5日であろうが、また同じ運動を繰り返す回数が多かろうが数回だろうが、効果はほとんど変わらなかったのだ。また、性別や年齢による効果の違いも見られなかった。

筋肉モリモリになる必要もなかった。筋力の増加と、うつの軽減具合との間に相関関係はなかったのだ。大事なのはジムに足を運んでトレーニングをする、それだけだった。

有酸素運動をするグループを別に設けた研究は少なかったため、筋トレとの効果を比較するのは困難だった。だが、そうした研究を総合して分析した結果からは、筋トレも有酸素運動もうつへの効果は類似していることがうかがえたという。どちらも症状を軽減させる効果があり、効果の大きさも同じくらいだった。

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