売りで攻めるヘッジファンドは勝てない? 「トルコリラショック」でも株はさほど下げず
今年の3月にも米中貿易摩擦懸念が台頭、日経平均株価は年初来安値の2万0617円をつけた。当時はドル円が一時1ドル=104円台半ばまで円高が急速に進み、海外勢による日本株売りも加速。主力の輸出関連株が売られ、株価指数を押し下げていた。あれから97日が経過した8月13日、トルコリラ不安をきっかけに急落したとはいえ日経平均は2万1800円台、ドル円は110円台を維持した。
一方、目線を「売り方」へかえてみよう。2018年2~3月の急落時(VIXショックや米中貿易摩擦)に信用取引でカラ売りを仕掛けた投資家(ヘッジファンドなど)は、この8~9月に決済すべき6ヵ月期日が近づいている。
売り方の投資家の眼には、「トルコリラショックも思ったほど下げない、底堅い日本株」と映っているかもしれない。実際、14日の日経平均は大幅反発。損失限定を急ぐ、売り方の買い戻し等が押し上げているようだ。なお、過去5回(①~⑤)のボトム周期は平均103日だ。日柄面では8月下旬にも調整一巡する可能性が高まってきていると言えそうだ。
8月の騰落率は1949年以降では「36勝33敗」
「夏休み」→「売買低迷」→「弱含み」。夏枯れといわれる8月の日本株だが、意外なデータもある。まず、東京証券取引所の再開以降(1949年~2017年)の日経平均は、8月相場が36勝33敗と決して弱くはない。一方、過去30年(1988年~2017年)に限ってみると、8月相場は11勝19敗と大きく負け越している。これは日本株における海外投資家の売買シェアが6~7割近くまで高まったことから、海外リスクの動向に振り回されやすくなったといえよう。
次に騰落率(振れ)はどうか。東証再開以降(1949年~2017年)の日経平均は、8月相場の上昇平均が+5.6%、下落平均がマイナス5.0%だ。
13日の日経平均も2万1857円まで大きく下げたが、8月の下落率は前月比マイナス3.0%までひろがった。一方、業績面に目を移すと、国内企業の2018年4-6月決算は好調だ。
冷静に考えれば、国際的な主要通貨とはいえないトルコリラ安による国内企業業績への影響は限定的と考える方が自然だ。実際、この間、基軸通貨である米ドルは日本円に対して安定している。
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