エアコン各社、「猛暑特需」の勝ち組はどこか 空調メーカーの決算に見る猛暑の押上げ効果

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石油暖房大手のコロナは工場の通年稼働のため、1979年に空調事業に進出。国内エアコン市場の低価格帯で一定の地位を築いている。

そのコロナの第1四半期の営業利益は4.3億円の赤字(前年同期は2.1億円の赤字)だった。ただし、主力の暖房がシーズンオフの第1四半期は例年赤字。

本来はエアコン出荷ピークは4~6月だが、「7月以降も需要はものすごい」(会社側)という。とはいえ、第2四半期を左右するのは暖房の出足。空調の好調は業績の下支えにはなるが、年間の業績も暖房次第である。

パナ、三菱も出足に苦戦

事業全体の中でエアコン事業の占める割合はわずかだが、パナソニックや三菱電機はどうか。パナソニックの第1四半期の営業利益は前年同期比19.1%増の999億円。増益を牽引したのは産業用の実装機で、エアコンを含む家電部門は15%減益だった。

各社のエアコン生産は活況を呈している(記者撮影)

「東南アジアやインドでエアコンが苦戦したことが大きい。日本は春からの商談で量販店との合意点が得られず、納入時期がやや遅れてしまった」とパナソニックの梅田博和CFOは説明する。ただ、「7月以降の伸びはすごく、出荷量は例年の2倍近い」と期待をかける。

三菱電機は第1四半期の営業利益が615億円と18.4%減った。素材価格の上昇や海外の生産拠点の立ち上げ費用や先行開発費がのしかかった形だ。「素材価格の上昇が一番大きく出ているのは空調。日本の猛暑の効果は第2四半期に現われると見ているが、グローバルなビジネスなので国内だけで語れない」と経理、財務担当の皮籠石斉・常務は言う。

いずれにしても、パナソニックも三菱電機もグローバルで空調事業を展開しており、国内の猛暑効果は限定的なようだ。もちろん、国内販売が伸びているのは空調メーカーにとって喜ばしいことに違いない。それが業績に直結しないことは注意が必要だ。

山田 雄大 東洋経済 コラムニスト

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やまだ たけひろ / Takehiro Yamada

1971年生まれ。1994年、上智大学経済学部卒、東洋経済新報社入社。『週刊東洋経済』編集部に在籍したこともあるが、記者生活の大半は業界担当の現場記者。情報通信やインターネット、電機、自動車、鉄鋼業界などを担当。日本証券アナリスト協会検定会員。2006年には同期の山田雄一郎記者との共著『トリックスター 「村上ファンド」4444億円の闇』(東洋経済新報社)を著す。社内に山田姓が多いため「たけひろ」ではなく「ゆうだい」と呼ばれる。

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