万引きで実刑を食らった女性の壮絶な半生 摂食障害を経て「窃盗症」になった

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――それ以前には、摂食障害でもあったんですよね。

摂食障害がはじまったのは、盗みをはじめる十数年前です。

21歳のときに付き合っていた人に「最近太ったね」と言われたのがきっかけでした。

テレビでモデルさんが「食べた後、吐けばいいんですよ」と言っていたのをみて、いつの間にか自分も食べたら吐けばいいと考えるようになってしまっていたんです。

ひどかったときには、食パン6枚ほど食べてから、パスタを1袋食べていました。もう動けくなるまで、とにかく吐くために食べていました。当時は、それが病気だとも思わずに狂ったんじゃないかと思っていました。

それからずっと摂食障害の症状は続いたのですが、35歳のときに今の夫と知り合ってからは自然と過食嘔吐をしなくなりました。

その時は自分を受け入れてくれる人がいたことで満たされていたからだと思います。

今の夫にも「最近太ったね」と言われた

ところが、出会ってから1年後ぐらいに今の夫にも「最近太ったね」と言われたんです。

夫には悪気はなかったと思いますが、それで自分のなかでスイッチが入ってしまった。私はやっぱりやせなければいけないんだ、と思ったんです。

その日から、また普通に食べることができなくなってしまいました。

過食嘔吐が再発して2年間ぐらい続きましたが、嘔吐しすぎて食道が破裂して血を吐いてしまって。

鮮血がトイレの便器に飛び散っているのを見て怖くなって、これはもう吐くのをやめなければと思いました。

窃盗がはじまってからは、摂食障害から窃盗のほうに気持ちが完全にシフトしていましたが、ときどき摂食障害も併発していました。

――摂食障害やクレプトマニアの根本的な原因として思い当たることはありますか。

私は幼少時代から、母親に「あんたなんか産まなきゃよかった」と言われてきたんです。

4つ年下の弟がいるのですが、彼は勉強もピアノも何でもできる人でした。

その弟とずっと比べられてきて、母からは「あなたは何の取り柄もない」と言われてきました。

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