「団塊ジュニア」がこれから迎える憂鬱とは? 親の介護リスクや自らの年金減額の苦労も
親が認知症になったとき、注意しておきたいことがあります。それは、かかる費用を親のお金で賄おうとしても、親のお金が動かせなくなることです。成年後見制度を考える方がいるかもしれませんが、できることは、本人の生活に必要なものを買うためのお金の引き出しくらいです。だからこそ、判断能力があるうちに一緒に考えなければ、取り返しがつかないことになります。
認知症になるとできなくなることは主に以下の5つです。
② 所有している不動産(自宅)の売却・建替
③ 高級老人ホームへの入居保証金の支払い
④ 孫の学費の支払い
⑤ 110万円枠の暦年贈与
両親が元気なうちに、事前に対策をしなければいけないことはありませんか。たとえば、アパートなどの不動産を所有している場合、認知症になった後に修繕などのメンテナンスができなくなり、不動産価値を下げてしまうこともあります。介護ケアの充実している老人ホームに入れてあげたくても、不動産の売却も銀行預金の引き出しもできなくなります。もし、せっかくお孫さんの大学進学の援助を親から言われていたとしても、いざそのときに認知症になっていたら、願いはかなわないことになります。
親が元気なうちにやっておくべき「民事信託」とは?
認知症になってからの1つの対策としては、「成年後見制度」があります。成年後見制度には不正防止のため、後見人に弁護士が選ばれることが多くなっています。ただ、弁護士が後見人に選ばれると、毎月3万円から5万円ほどの費用がかかることも知っておきましょう。さらに、本人のためにお金を使ってあげたいと考えても、家庭裁判所への報告が必要になり、必要最低限の支出しか認められなくなります。そうならないために、認知症になる前にしておくべき対策として、民事信託(家族信託)が注目されています。これは、本人の意思が反映しやすい制度なのです。
民事信託(家族信託)でできることは主に以下の7つです。
②財産承継対策
③共有財産の管理運営
④相続人の浪費対策
⑤未成年・障害のお子様の福祉型新宅
⑥受益権複層化信託
⑦自社株の信託(上場・未上場)
自由な設計ができる家族信託ですが、すべての銀行で信託口座を開設できるわけではありません。この2年ほどで広がりを見せていますが、開設できるのは一部の銀行、信用金庫だけなので、詳しい専門家に相談するといいでしょう。知識として知っておきたい内容です。
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