「団塊ジュニア」がこれから迎える憂鬱とは? 親の介護リスクや自らの年金減額の苦労も

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すでに準備ができている方は問題ありませんが、もしまだであれば「何をしたらいいかわからない」「はたして今からでも間に合うのか」と思う方も多いと思います。そこで、団塊ジュニアが今からできる老後の資金づくりをご紹介します。

皆さんが老後の生活で困らないように、国が用意している2つの制度があります。

1つ目は、確定拠出年金です。企業年金として準備している会社に勤務している場合、会社が掛け金を出している場合もあります。これに該当する方は、きちんと分散投資できているかをチェックしてみてください。企業年金で投資信託を活用している人は徐々に増えていますが、それでも約4割といわれています。ほとんどが何の指示もせずに定期預金のままになっているようです。それはとてももったいないことです。まずはこの見直しから始めましょう。

確定拠出年金がない会社や個人事業主、公務員、専業主婦の方は、個人型確定拠出年金(iDeCo)が利用できます。掛金全額が所得税から控除され、運用益も非課税になるほか、受け取りも退職所得控除、または公的年金控除が受けられるなど、国の優遇を受けながら老後の資金づくりができます。60歳までは払い出しできない制度なので、着実に貯めていくことができます。

運用次第で預貯金よりも70%も増える

もう1つがNISA(少額投資非課税制度)です。運用益が非課税になるこの制度は、日本人にも運用によって豊かな生活を築いてほしいという思いから作られています。特に、つみたてNISAは金融庁の厳しい基準をクリアした運用商品だけで構成されています。しかも、利用できるのは積立運用だけとよりリスクが抑えられているので、投資初心者でも始めやすい制度なのです。年間40万円まで20年間非課税の恩恵が受けられます。もし、老後資金として活用する場合、45歳から運用を始めれば、20年後は65歳です。65歳から毎年40万円プラス運用益を20年間受け取ることができます。公的年金のほかにこうした資産があれば、かなり安心できるのではないでしょうか。

団塊ジュニアの皆さんに、かなり先のことを今お話ししているのは、まだ資産をつくる時間が十分にとれるからです。仮に20年間の積み立て運用で考えてみると、非課税と複利を使うことで、次のような結果が期待できます。毎月3万円を20年間、積み立てした場合、金利0.01%の預貯金なら、20年後には720万7000円と7000円増えるだけです。つみたてNISAで資産運用した場合、2%で運用できたとしたら884万4000円、3%で984万9000円、4%で1100万3000円、5%なら1233万1000円になります。

積立・複利シミュレーションは以下のとおりです。

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