トヨタ自動車、4-6月期営業利益は18.9%増  米政権が追加関税を発動したらどうなる?

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 8月3日、トヨタ自動車が発表した2018年4―6月期連結決算(米国基準)によると、営業利益は前年同期比18.9%増の6826億円だった。19年3月期通期の連結業績予想は据え置いた。写真はロサンゼルスで昨年11月撮影(2018年 ロイター/Mike Blake)

[東京 3日 ロイター] - トヨタ自動車<7203.T>の白柳正義専務役員は3日の決算会見で、トランプ米政権が自動車や部品を対象に最大25%の追加関税を発動した場合、同社にとって、日本から米国へ輸出する完成車1台当たり、平均で「6000ドル(約67万円)」のコスト上昇につながることを明らかにした。

同社は米国に10工場を持つが、2017年の米国販売車(243万5000台)のうち、日本からは約70万9000台を輸出している。単純計算すれば、約4700億円規模のコスト増になる。

同専務は、追加関税がもたらす影響について「非常に大きい」と懸念を表明。一方、コスト上昇分を米国での車両販売価格に転嫁するかについては「なかなか申し上げにくい状況」と述べるにとどめた。

現地生産の拡大余地「今はない」

白柳専務は、関税が引き上げられた場合でも、現地生産能力を拡大する余地は現時点では「ない」と説明。その上で、従来からの方針である国内生産300万台規模の維持には「しっかりとこだわっていきたい」と語った。

貿易戦争の逆風に立ち向かうため、同社は稼ぐ力と原価低減力をさらに磨き上げる方針。決算会見に同席した吉田守孝副社長は、20年ごろまでに販売する車の約半分は新設計手法「トヨタ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー(TNGA)」に対応したモデルに刷新し、世界の30工場で同モデルを生産する意向を示した。

TNGAとは中型・小型など車のサイズごとに車台を統一し、設計や部品を共通化したりする取り組みで、コスト削減や生産効率、商品力の向上を両立させる狙いがある。

同社が3日発表した2018年4―6月期連結決算(米国基準)は、売上高が前年同期比4.5%増の7兆3627億円、純利益は同7.2%増の6573億円となり、ともに同期としての過去最高を更新した。北米やアジアで販売が伸びたほか、経費削減や原価改善効果も寄与した。営業利益は18.9%増えた。

白柳専務は会見で、4―6月期実績について、稼ぐ力や原価低減の力は「少しずつ成果は見え始めているが、まだまだ道半ば」と評価。19年3月期通期の連結業績予想は据え置いた。

通期予想を維持した理由として、同専務は、品質改善費用を多めに見積もったことや、設備投資刷新に伴う減価償却費や研究開発費が7―9月期以降増えることを挙げた。また、米政権が6月に発動した鉄鋼・アルミニウムの輸入制限により、通期予想に「100億円程度、減益方向に織り込んでいる」(白柳専務)という。

(白木真紀)

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