臨床瑣談 中井久雄著

臨床瑣談 中井久雄著

精神科医として著名な著者による専門外の場での体験談と助言は「瑣談(さだん)」どころか貴重かつ味わい深い。

「院内感染に対する患者の自衛策」は、院内はもとより日常生活における自衛策としても役立つだろう。「昏睡からのサルヴェージ作業の試み」は、瞳孔への光の刺激、足の裏のくすぐり、耳元でのささやきなどにより昏睡状態の肉親がいったんは元気になる話。「ガンをめぐる助言」と「丸山ワクチン私見」はガンについての哲学的ともいえる洞察とともに、丸山ワクチンとかかわってきた臨床体験が詳細に述べられる。

内科的知識と経験の豊かさには敬服させられるが、それが謙虚に、しかし説得力をもって語られる。その知見は思想的でさえあって未病や治療を考え、上手に生きるためのヒントが豊富にある。語り口は平易だし、肉親や友人の臨床例が盛んに登場するので重い話も軽く読ませる。このテーマで読書の楽しみも堪能できるとは嬉しい。(純)

みすず書房 1890円

Amazonで見る
楽天で見る

ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 食べれば世界がわかる!カレー経済圏
  • 北朝鮮ニュース
  • 日本野球の今そこにある危機
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
白川日銀前総裁インタビュー<br>中央銀行の役割とは

退任から5年半。総裁就任前を含め、日銀とともにあった足跡を記した著書『中央銀行』が出版された。なぜ今沈黙を破ったか、金融政策が数々の批判にさらされたのはなぜか。日本経済の持続可能性への思い、中央銀行の果たすべき役割とは。