日本の高速道路は災害にどれだけ耐えうるか 西日本豪雨の甚大な被害と復旧を振り返る

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一方、高速道路も一時はかなりの被害が出たが、対面通行(片側2車線を上下1車線ずつに振り替え)でしのぐなどして、山陽道、中国道、四国の四道(徳島道、松山道、高知道、高松道)などは日常の通行にはほとんど影響が出ないようになり、この原稿を書いている時点での通行止めは、東九州道と広島呉道路の一部にまで縮小した。

今回は高速道路と並行する一般国道の被害も大きく、広島市と呉市を結ぶ国道31号線までが長い期間通行止めになった(現時点では不通区間の脇にある駐車場を急きょ舗装して迂回ルートを確保している)。

JR呉線、広島呉道路と併せてすべて通れなくなったため、唯一の交通機関である船に乗客が殺到する事態にもなった。それでもルートのうちのどちらかが暫定的に開通すれば、人やモノの往来がかろうじて確保できるということも目の当たりにできた。

高速道路が貴重なライフラインに

高速道路には、平時にはもちろんのこと緊急時にはより一層、長距離の物資の移動を支えるという重要な側面があるが、そのことが広く認識されたのが2011年の東日本大震災であった。

沿岸部は原発による事故や津波で道路網が寸断されたが、幸い首都圏などから東北へ向かう幹線である東北道は地震の被害が小さかったため、震災翌日の3月12日午前11時には緊急車両の通行が可能になり、13日後の3月24日には全線で一般車両が通れるようになった。救援物資はもちろんのこと、救援に向かう自衛隊やボランティアのスタッフなどの現地入りも、東北道の迅速な復旧が支えたともいえる。

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