日本の高速道路は災害にどれだけ耐えうるか 西日本豪雨の甚大な被害と復旧を振り返る

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こうした災害で影響を受ける交通網について、高速輸送を担う新幹線と高速道路、生活に密着した在来線と一般の道路に分けて考えてみたい。

新幹線は、日本列島の背骨を貫いて都市間輸送を担う大幹線であり、人の移動に欠かせない交通手段である。盛土や高架部分、トンネルが多いため、水害や土砂崩れには比較的強い。大阪府北部地震や平成30年7月豪雨でも一時運転を見合わせたが、ほとんど被害がなく、安全が確認されたのちはかなり早く平常に戻った。

一方、在来線は橋梁が流されたり、土砂が路盤ごと線路を押し流したりして、大動脈である山陽線や予讃線でも長期の運休を余儀なくされている。在来線は通勤通学の足となっているだけでなく、貨物列車のルートにもなっているため、物資の輸送にも支障を来している。

貨物の運送はトラックによる高速道路の利用が一般的で、鉄道のウエートは小さいような気がするが、近年の運転手不足やコスト面から鉄道輸送に切り替えた貨物も多い。九州と関西を結ぶ貨物列車が行き交う山陽線の長期不通が、いかに日本の物流に大きな影響を及ぼすかが浮き彫りになった。

三原―瀬野と柳井―下松は復旧までに数カ月かかるとされており、並行する呉線と岩徳線も同様かそれ以上の期間が復旧に見込まれるため、鉄道による九州と関西の貨物輸送は当面ほとんど機能しないほどの深刻な事態となっている。 

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