北朝鮮の制裁はこんな感じに緩和されている 中国からの観光客も急増中

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このような海上密輸を通じて北朝鮮は推定で最高136万バレルのガソリンを違法に手に入れた可能性がある、との見立てだ。現在の国連制裁では、ガソリンなど北朝鮮に輸出可能な石油製品の上限を年間50万バレルと定めているが、この2倍を優に超える量がすでに北朝鮮へと密輸されたことになる。

為替については、「最大限の圧力」がピークに達していた段階でも北朝鮮国内の公式レートは安定していたとされる。しかし、NK Proが入手した非公式レートでは、ユーロは上昇傾向にあった。

ユーロ相場が下落している意味

実際、ある消息筋によれば、2018年に入ってからユーロの非公式レートは北朝鮮ウォンに対し約2割上昇し、2月には1ユーロ=1万北朝鮮ウォンの高値をつけている。公式レートも非公式レートほど大きく変動しているわけではないが上昇し、2017年安値に対して1割ほど高い水準でピークをつけた。

一方、米ドルの非公式レートは1ドル=8000北朝鮮ウォン近辺でほぼ動かず。制裁圧力が最も強まっていた頃に、北朝鮮ではユーロの需要が高まっていたことを示している。背景としては、政府のユーロ需要が高まった可能性が考えられる。海外取引の決済通貨としてユーロを使ったほうが、ドルよりも国際的な監視の網をかいくぐりやすいからだ。

しかし、7月のデータを見ると、ユーロ相場は公式、非公式のいずれもが最近は下落傾向にある。北朝鮮に対する制裁圧力が弱まっているためかもしれない。ユーロの公式レートは4月から徐々に下がり始め、非公式レートは6月に急落した。

ちなみに、昨年8月以降は北朝鮮の国営メディアで「制裁」という言葉が使われる回数も減ってきている。

外資系企業による合弁事業でも制裁は守られていない。北朝鮮で携帯電話合弁「コリョ(高麗)リンク」を手がけるエジプトの通信大手オラスコムは、国連制裁の対象から除外されているわけでもないのに、今も北朝鮮で事業を続けている。

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