北朝鮮の制裁はこんな感じに緩和されている 中国からの観光客も急増中

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出稼ぎビジネスにも活発化の兆しが見られる。

丹東市や延吉市など中国側の国境の町では、北朝鮮レストランの多くが18年冬にかけて閉店したが、今も営業を続けている店は多い。北朝鮮の出稼ぎ労働者が働いている飲食店であっても、経営権が中国人に譲渡された場合には中国当局がお目こぼしを与えていると噂される。

瀋陽にあった有名な「七宝山飯店(チルボサン・ホテル)」は国連制裁の結果、今年1月に閉鎖されたが、延吉市の「柳京飯店(リュギョン・ホテル)」は営業が再開されたようだ(柳京飯店は以前、北朝鮮が経営。今も経営に関与しているかは不明)。

北朝鮮国内ではガソリンが値下がり

このように、北朝鮮の最大の貿易相手国である中国では各方面で制裁が緩みつつある。圧力緩和を裏付ける動きは北朝鮮国内の経済データにも表れてきている。その代表例が、燃料価格と為替だ。

2017年を通じて北朝鮮国内で制裁圧力の影響がはっきりと表れていたのがガソリン価格だった。当局が制裁強化を見越して石油備蓄を進めたためか、17年4月にガソリン価格は83%急騰。北朝鮮によるミサイル・核実験による国連制裁の強化を受けて、北朝鮮国内のガソリン・軽油価格はその後も数回にわたり上昇するが、18年に入ってからは値下がりに転じている。

平壌在住の外国人向けに売られているガソリンの値段は昨年10月〜今年7月の間に3度低下したことがNK Proの追跡データによって明らかになっている。価格が急騰した昨年4月以前の水準に比べれば、ガソリン価格はなお55%ほど高いが、下落トレンドは継続。北朝鮮国内の石油供給量が増えたことを示唆している。

2017年12月の国連制裁決議では、北朝鮮に対する石油精製品と原油の供給量はともに9割近くカットされる予定だった。にもかかわらず、北朝鮮国内のガソリン価格が低下してきているということは、北朝鮮が密輸によって石油を手に入れていることが背景にあるとみられる。北朝鮮は海上で船を横付けにして行う石油密輸を今年1月〜5月末の期間に少なくとも89回行ったと米国は主張している。

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