「育休ママの再出発」という転職市場の新兆候 なぜ、育休ママは新たな学びを渇望するのか

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育休が明けた後、元の職場にそのまま戻れば、「時間的な制約により以前のようには働けなくなった自分」の前に、「同じ職場」が待っている。だが、自分を取り巻く環境が育休前と同じとは限らない。

お仕事留学の参加者の多くは、国内でもトップクラスの企業に勤めるキャリア志向のママだった。参加者からは「同じ仕事であるがゆえに、投入可能な自分の時間が子育てによって減れば、できる仕事の量も減る」という声が聞かれた。

「隣の芝生」を覗くサービスに変化の兆しを感じる

参加者の顔はさまざまだった。

生後数カ月の赤ちゃんを抱っこして丸の内を歩いていても様になるスタイリッシュな人、2人目の出産を控えた妊娠中の人、すでに育休から復帰して有給をとって参加している人。

彼女たちは、元々の職場である程度のキャリアを積んできたはずだ。自らのキャリアが後退する現状に甘んじることはないだろう。

出産をきっかけに前向きな思いが生まれ、「これからのキャリアを見つめ直してみたい」「新たな場所での活躍機会を模索したい」と考えている参加者も多くいた。

「ママという新しい自分になったわけなので、新たなやり甲斐を求め新しい職場での真っ白なスタートラインに立ちたい!」という願望は、とても理にかなっていると感じる。

1つの会社に長く勤める文化は崩れ去り、ライフステージに応じて自分のキャリアを自分で切り開いていく時代が到来している。現職の企業に恩義を感じながら、育休中に「隣の芝生」を覗くサービスに、筆者はとても日本らしい転職マーケットの変化の兆しを感じ、丸の内を後にした。

森田 亜矢子 子育てマーケター

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もりた あやこ / Ayako Morita

社会人時代の最初は、リクルートで「今そこにない価値を創るマーケター」として働く。当時、ちゃらんぽらんな食生活を送ってしまったため大病を患い、出産を機にライフシフトを決意。2年間の専業主婦時代を経て、現在は5歳と2歳の2人の子どもを育てながら、子育てマーケター/ライター/食育講師/マザーズティーチャー/企画ディレクターなどなど、複業祭りのスラッシュキャリアで、日本の子育てをもっと楽しくする活動をしている。

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