ジョブズは"不完全な"人間だった

映画「スティーブ・ジョブズ」監督が語るジョブズ論

――ひとつリクエストを。もし本作に続編が作られるとするならば、今度は(ジョブズが設立したCGアニメ制作会社)ピクサーと、iPhoneを登場させてください。

申し訳ないが、iPhoneはこの(映画で描かれている時代よりも)後に登場したものだから無理だと思うな。それからみんな、ピクサーに対してはロマンチックな思いを抱いていると思うけど、ジョブズは単なる顧問であって、彼が何かを作ったわけじゃない。ただし、ピクサーを設立した時代のジョブズを見ていると、何がかっこいいのか、これから何がはやるのかということがわかっていたし、それをうまく取り入れることができる才能を持っていた人物だと思ったね。

ジョブズは”不完全な”人間だった

――監督にとってジョブズはどういう存在ですか?

若い頃の彼は、自分の製品を売るため非常にもがいていた。誰も彼の後押しをしてくれなかったし、彼のビジョンは誰にも理解されなかった。だから、そうとうフラストレーションもたまっていたと思う。でも自分の仕事に対しては、取りつかれたようにそれに執着してきた。そして幾度となく他人から誤解され続けてきたが、それでも不屈の精神でやり遂げて自分の会社を興した。しかし、そんな会社をクビになり、そしてまた復帰する。決して彼は完全な人間ではなかった。そういうところが僕の琴線に触れるんだ。

(C)2013 The Jobs Film,LLC.

――ジョブズは人類にとってどういう存在だったと思いますか?

ジョブズは自分の製品を通じて、世界に対する愛を表明したんだと思う。みんなの生活がよくなるような製品を提供することでね。これは(本作でジョブズを演じた)アシュトン・カッチャーが言っていたことなんだが、ジョブズが亡くなった日、彼は本当にショックを受けて、いろんな友だちに連絡をした。その連絡をする際に使ったものはiPhoneやMacBookなど、すべてアップル製品。つまりジョブズが作ったものだったというわけだ。それこそがスティーブ・ジョブズの功績をたたえるのにふさわしいエピソードじゃないかな。

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