高野山、「外国人観光客への辛口対応」の是非 観光客のネガティブレビューに辛辣な返答

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このコメントへの宿泊施設側からの正式な回答として、次のような返信が投稿されていた。「ここは究極的には修行の場だ。当然ながら、食事その他はすべて質素なものになる」。さらに、「西洋人だからという理由だけで特別扱いはしない」、「特別に説明してもらう人は誰もいない。これまでずっとそうだった」、「あなたが日本語や日本の文化を理解すればいいだけだと思うけど、でもそうじゃないんだろ。そんなに僧侶の生活に興味があるなら、頭を剃って自分が僧侶になればいい。以上」というものだった。

またアメリカのエリックという人物が書いたコメント「スタッフがそっけなかった」に対しては、「なぜ我々がフレンドリーにしなければいけないんだ?????君たちはなんのためにここに来ているんだ???宿坊に対してなぜそんな歪んだ考え方を持っているんだ??」と返信されている。

さらに別の人の「夕食と朝食は菜食主義で、これまでまったく食べたことがない味だった。不思議」というコメントには、「そう、日本の精進料理っていうんだよ、教養のないクソ野郎が」と、非常にきつい罵り語の1つ「Fワード」を使って返信が書かれている。

僧侶だって我慢できないことも......

ガーディアンによると、こうした返信コメントは、現在はすべて削除されている。予約サイト側が赤松院に対し、客を侮辱しないように、と注意を促したのが理由のようだ。

ガーディアンは、宿泊施設側の返信コメントを書いたのは赤松院の僧侶であるダニエル・キムラ氏だと説明する。キムラ氏はアメリカ出身で15年前に来日した。

キムラ氏はガーディアンの取材に対し、罵ってしまったことについてはとても後悔しており、今後は表現を抑える、と話している。しかし高野山が世界遺産に登録された2004年以降、欧米からの観光客が急増しており、中には横柄な投稿もあるためフラストレーションが溜まってしまうこともある、と理由を説明した。

そういった人たちは、「日本語を一言もしゃべれないで、すべてがお膳立てしてもらえると思っている。せめて『こんにちは』とか『おはようございます』など、ほんの少しでも知っているべきだろうと思ってしまうんです」とキムラ氏はガーディアンに話す。

中には、「6つ星ホテル」か何かを期待してくる人もいるという。しかしそうした人たちに、僧院は意図的に質素にできており贅沢など期待してはいけない、と伝えようとしているのだという。

しかし「僧侶だって我慢できないときはあります。そのへんは私も努力しないと」とキムラ氏はガーディアンに胸の内を明かしている。

(文:松丸さとみ)

「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

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