北海道の寒村が挑む「自治体株主制度」が凄い

返礼品で終わらない、長い関係性の作り方

いずれも町まで足を運ばせる仕掛けとなっており、その最たる例が冒頭の株主総会。交通費の一部補助はあるものの、遠方からわざわざ参加する株主も少なくない。

近年のふるさと納税ブームを受けて株主の人数は急増しているが、人数だけでなく熱量の高さも特徴だ。毎年投資を続ける株主も多く、「リピート率が6割を超えていた年もあった」(町の担当者)。そこには税金を徴収されるという後ろ向きな意識はない。「町を見てもらうことで、(株主との)縁が切れないようにしている」(松岡町長)。

一村一品運動で「コト」を掲げた

今でこそユニークな制度で支持を集める東川町だが、決して順風満帆な道のりだったわけではない。

1979年、当時の大分県知事が提唱した「一村一品運動」。各市町村が特産物を1つ掲げようという運動で、東川町としても押し出すべきものを探しているところだった。

開拓以来歴史の浅い北海道及び東川町にとり、特産品といっても米や野菜といった他地域と代わり映えのしないものばかり。「だったら、文化を掲げたらどうか、となった。ちょうどカメラの誕生と北海道(東川町)の歴史は同じくらいだし」(松岡町長)。

東川町はちょうど、大雪山や国立公園など、写真映えのする大自然を抱える。これを期に公共施設や住宅も写真映えのするものに変え、レンズを向けられたらポーズを構えてくれるような、元気な子どもを育てていこう。ほとんどの自治体が「モノ」を掲げる一村一品運動にあって、「コト」を掲げたのは異例だった。1985年6月1日、晴れて東川町は「写真の町」を宣言した。

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