「大物女優」をねじ伏せたLGB「T」の理想と現実

日本も他人事ではないハリウッドの降板騒動

リセットは「シスの俳優と等しくトランスの俳優に配役の機会が与えられていないこと、実際に生きるトランスの声の積み重ねの中で生まれるキャラクターをシスの俳優が盗用し、賞や名誉を得てきたのだ」と指摘した。

クライトンも「トランス俳優はトランス役のオーディションにすら呼ばれない」とシスとの間の不平等に言及した。

こうした声をよそに、歌手の宇多田ヒカルはツイッターで、シスがトランスを演じてはいけないと言うならば、トランスはシスを演じてはいけないということにならないか、という主旨の疑問を呈していた。

だが、宇多田はこの投稿後、さまざまな意見を受け、「この問題の核心を見失っていた」とツイートした。

スター不在でもトランス映画はヒットする

筆者自身もトランスだ。生まれたときに「男性」という性別を割り当てられたけれど、女性的とされる性別表現(服装や振る舞いなど)を選択し、戸籍の性別を「女性」に変更した。

リセットが指摘するように、現実に生きるトランスたちの人生や注目度を利用して映画やドラマを作るのであれば、経済性だけでなく敬意が必要ではないかと、筆者も考える。

一般社会において、シスとトランスの権利は均等ではない。それと同様に、ハリウッドにおいてもシスとトランスの間で役者として職を得る機会が等しくない以上、まずその点が見直される必要があるのではないだろうか。

出演俳優の知名度と映画の興行成績が比例する側面もあるだろう。だが、スターがいないと観客を動員できないわけではない。

ロサンゼルスでセックスワーカーとして生活するトランスを描いた『タンジェリン』(2015年)は、それを証明した作品の1つだ。

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