保険業界採用動向、サブプライム潮目に採用手堅くとも選別は強化

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コミュニケーションに難 面接で露呈する能力不足

能力の低下で「社会常識」を指摘する声の次に多かったのが、「コミュニケーション能力」の不足だ。

『全体的におとなしく、ひ弱な印象が強い。メールでの問い合わせの際の文面も稚拙で、コミュニケーションの取り方に問題がある学生がいる。質問に返答しても逆に説明・講釈する学生もいる』

『面接のときでも今風のヘアスタイルで来る学生が多いのは、時代の流れか? 試験結果も年々、知能が落ちていて、大学院生とも思えない幼稚な感じだ』

『簡単な質問(たとえば「自分」はポジティブであるかネガティブであるか等)に対しても「どちらかわからない」といった答えが返ってきたときは、正直ショックだった』

『質問があるか問い掛けても反応がないのに、後に回収したアンケートには「もっと詳しく聞きたかった」と記述があった。コミュニケーションをうまく取れない学生が目立った』

コミュニケーション能力は採用担当者がもっとも重視するポイントである。この能力を「人と話すのが好き」「どんな人とでも仲良くなれる」などと、とらえていては元も子もない。採用担当者の目線によって定義された「コミュニケーション能力」とは「相手の発する質問の要点を理解し、的確な回答を返すこと」にほかならないのだ。

学生側からの「就職目線」では「評価が曖昧では?」「鍛えようがない」と考えてしまいがちな「コミュニケーション能力」を採用担当者がなぜ重視するのか。その理由は、コミュニケーションこそが「面接の場で唯一、学生が実際に示すことができる能力」だからである。他の選考基準である「達成志向」「適応力」「顧客志向」などは面接の場で実行するわけにはいかず、採用担当者は質問や回答を通してしか、その能力レベルを推測するしかない。しかし、「コミュニケーション能力」については、まさに面接の場がコミュニケーションの場であり、企業は学生の能力そのものを面接で知ることができるからである。

そのほかにも『今年に限ったことではないが、依存心が強い傾向がある。特にアジア系留学生に比較して、日本人学生のおとなしさと依存心の高さは気になるところだ』と「前に踏み出す力」の不足を指摘する。

また、「考え抜く力」の不足から『他人に答えを求める学生が非常に多い。自分で考えず人の意見や考え方を聞くのでもなく、いきなり「どうすれば内定がもらえますか?」など方法論を聞いてくる』という回答もある。

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