パラスポーツ運動会が与えてくれた「気づき」 誰でも参加できる「あすチャレ!運動会」とは

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ゴールボールは目隠しをした状態で鈴の入ったボールを転がしあい、相手ゴールに得点を入れて競う競技(編集部撮影)

今回、開所間もないパラアリーナで初めて企業の運動会となった「西尾レントオール部門合同運動会」の運営の責任者、同社スペース営業部スポーツ設備課の堀口典亮係長は「2年前にパラサポと知り合って、企業合同運動会に参加したのですが、社単独でもやってみようと。

普通の運動会とは違って、みんなが初めてですので、足が速いとか、筋力があるとかは関係なく、みんなが公平にできる。やってみるとおもしろいし、コミュニケーションも取れる。パラスポーツを通じて多くの社員に気づいてほしい」という。

同社では、全国6つの営業部から社員を呼び寄せた。「いろいろな部署が縦割りでありますが、横のつながりを作りたい」というのが目的でもあるという。また「共生企業として本業にも生かしたい」とも。確かに、体育館内はもとより、ロッカーや廊下などでも、普段は顔を合わせることはないと思われる離れた営業所の社員が談笑している場面がみられた。ボッチャの廣瀬も「日頃話をしない人がスポーツを通じて交流するのはいいことだと思う」と話した。

同社の西尾社長ももちろん参加し、ボッチャなどで汗を流した。

社員の前で話した西尾公志(まさし)社長(編集部撮影)

「実際にやってみて、よく考えられたスポーツで、大人でも子どもでも楽しめるし、企業・団体のコミュニケーションをとるのには有意義なおもしろいスポーツ。パラリンピックに絡む仕事をしていく上でパラスポーツを理解しようとしてスタートしたが、広がりがあるスポーツだと思う」と話した。

パラスポーツを通じて得られる「気づき」もある

パラサポでは、企業のほか、自治体や大学・専門学校などを実施対象としている。ちなみに、パラアリーナの使用料は無料。実施費用は1人1万円程度が目安で、プログラム作りや競技備品の貸し出し、スタッフ派遣などを行っている。申し込みはパラサポHPの「あすチャレ!運動会」からできる。小規模で気軽な「体験会」も行っている。

障がい者への気づきはもちろんだが、社員同士の気づきもありそうな「あすチャレ!運動会」の効用は、企業にとって貴重なものになるかもしれない。

たまたま来日していてパラアリーナを視察に来た、国際パラリンピック委員会(IPC)のリタ・バン・ドリエル理事も、この運動会をしばらく観戦していた。

「このようなイベントは、世界的にも珍しい。パラスポーツをみんなが楽しむ、感じ取る、気づきを得る機会になる。世界中に広めたいし、私たちのオランダでもやってみたい」と話した。日本独自ともいえる「運動会」が、「EKIDEN」のように「UNDOKAI」となる日が来るのだろうか。

(文中一部敬称略)

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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