超党派の「衆議院改革」が画期的といえる理由 出産時の女性議員の代理投票制度などを提言

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小泉氏はまた提言書提出にあたって、「今の国会はおかしいという世論が、国会を動かす大きな力になる」とのコメントを寄せ、「国民の皆さんからの応援もぜひよろしく」と呼びかけた。あと9カ月で「平成の御代」は終わるが、政治は次の時代の新たな方向に向けてすでに動き始めているといえそうだ。

以下に提言書の全文を掲載する。

与野党を問わず、多くの議員が危機感を共有

平成のうちに、どんな小さいことでも、ーつでもいいから、衆議院改革を実現する。こうした強い覚悟で、「平成のうちに」衆議院改革実現会議を設立した。

第1回の会議には100名以上の超党派の議員が参加した。まさに、国会改革の必要性・緊急性について、与野党を問わず、多くの議員が危機感を共有していることの表れである。

6月28日の第1回会合の様子(写真:『平成のうちに』衆議院改革実現会議)

これまでの会議を通じて、幅広い分野にわたり、有意義かつ建設的な意見が出された。これら全てが重要な意見であり、我々は、あくまで有志の集まりとして、国会において、これらの内容を精査の上、実行することを望むものである。

もとより、国会改革は、議院運営委員会において進められることは論を待たない。今国会においても、議院運営委員会は、配布資料の一部ペーパーレス化や質問主意書の調整日数拡大など国会改革を着実に進めて頂いている。しかしながら、「平成」において各党の先人が衆知を集め、互いの立場を尊重し貴重な合意に至った、国会改革に関する累次の「平成の合意」については、いまだ実現に至っていない。今後は、既に議院運営委員会の下に設置されている、国会法改正等及び国会改革に関する小委員会(国会改革小委員会) において、改革を進めていくことが不可欠である。

特に、平成26年「国会審議の充実に関する申し合わせ」は、国会審議の充実に向け、当時の与野党7党の国会対策責任者が党派を超えて合意し署名に至ったものであり、今後の議論の基本にすべきものである。

その上で、以下についても、国会改革小委員会において早急に議論を開始し、平成のうちに実現すべきである。

1.党首討論の定例化・夜間開催の実現。平成26年「国会審議の充実に関する申し合わせ」でも党首討論を1力月に1回開催することとされていたが、国民への説明責任を強化するため、

例えば、今後は2週間に1回、討論のテーマを決めて党首討論を開催、また、党首討論は夜に開催し、より多くの国民が視聴できるようにするなど、充実した討議が行われる環境を整備すべきである。

2.衆議院のIT化。国会のIT化を推進し、国会審議の効率化・意思決定プロセスの透明性向上を図るべきである。例えばーつの手段として、衆議院におけるタブレット端末を導入・活用すべきである。

3.女性議員の妊娠・出産時等への対応。女性議員が妊娠・出産時等により表決に加わることができない場合、現状では同議員による意思の表明が困難である。今後は、こうした場合に代理投票を認めるなど、必要な対応を速やかに実施すべきである。

その他の課題については、平成のうちに必ず国会改革の風穴を開ける覚悟で、引き続き実現会議で、継続的・主体的に議論を深めていく。また、臨時国会における議院運営委員会・ 国会改革小委員会での、議論のキックオフを後押しする意味でも、臨時国会開会直後に、実現会議を再開し、改革の機運を更に高めていきたい。各党・各会派においても、国会改革についての議論がなお一層深まることを期待したい。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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