貯金できない人とできる人は一体何が違うか 多い人が意外と使っているという事実もある
では貯蓄が多い人はローンが少なく、その分すべてを貯めているのかというと、必ずしもそうではないようです。貯蓄高の多い人は月々の収入も高いのですが、使ってもいます。貯蓄がトップレベルの人は月間の手取り収入のうち4分の3以上を使っており、黒字として残る金額も、貯蓄が少ない人より圧倒的に高いわけでもありません。
ただ、おカネの使い道には少々違いがあります。貯蓄の多い人ほど食費や交際費、自動車関連費などの支出が高い反面、通信費が少ないのです。貯蓄200万円以下の人は月に平均約1.8万円ですが、貯蓄が2000万円以上の人は1.7万円以下です。それほど大きな差ではありませんが、ほかのほとんどの費目と逆の傾向がみられるのは興味深いところです。
この調査では、現役の会社員・公務員という点では同じものの、さまざまな家族構成の人が含まれています。データをみると貯蓄が多い人の平均年齢は高く、高校生以下の子どもが少ない、貯蓄が少ない人の平均年齢は低く、子どもが1人以上いる傾向もあるようですので、月々の支出にはそうしたライフステージの違いが影響しているでしょう。とはいえ、おカネを貯めるために節約しようと考えるなら、貯まっている人が何に使って、何を絞っているかは参考になるかもしれません。
おカネの持ち方にも違いがある
もうひとつ、貯蓄の多い人は、持っている金融商品も違います。
貯蓄が少ない人ほど、預貯金が多く、株式や投資信託の割合が少ない傾向があります。貯蓄高がトップレベルの人は、貯蓄高に占める預貯金の割合は約60%ですが、貯蓄高が少ない人では75%以上です。また預貯金のなかでも、貯蓄の多い人ほど定期預金、少ない人ほど普通預金を持っています。貯蓄トップレベルの人が持つ普通預金は貯蓄高全体のうち4分の1ほどですが、貯蓄の少ない人ではその半分以上を占めているのです。
おカネを貯めるときにどんな金融商品で貯めるかは、年齢や家族構成、ライフプラン、そしてすでに持っている貯蓄高によって変わってきます。まだ貯蓄が少なければ、たとえば冠婚葬祭や思わぬケガ、病気といった急な出費に備えて、すぐに引き出せる普通預金に優先的に貯めていくのが安心です。これに対して、貯蓄高がある程度積みあがっていれば、一部はすぐに引き出せなくてもよい定期預金にしたり、元本割れのリスクをとっても株式や投資信託などの投資に充てたりするゆとりもでてきます。ですから上記は当然の結果ともいえます。
しかし別の見方をすると、貯まっている人はより貯まりやすい金融商品を選んでいるともいえます。近年の低金利局面では、預貯金の利子は微々たるものですから、預貯金が多いほど貯蓄高全体も増えにくいままです。逆に株式や投資信託が多ければ、値動きのリスクはあるものの、より増やすチャンスもあります。
またおカネを普通預金ばかりに置いておくことは、それだけいつでも使える、つまり貯蓄が増えない状態にさらしておくことでもあります。定期預金やほかの金融商品も解約して現金化するのはそれほど難しくありませんが、普通預金に比べれば少々ハードルが上がります。引き出しにくい金融商品の割合を多くしておくほど、貯まりやすい効果もあるかもしれません。
このように、貯まっている人と、貯まっていない人には、確かに違いがあります。もちろん、この調査は対象者の貯蓄高を経時的に分析しているわけではなく、各家庭の個別の事情を考慮しているわけでもありませんから、貯蓄の多い人の真似をすれば必ず貯められるわけでもありません。ただ、貯まっている人がおカネをどう使い、どう持っているかは、多少のヒントになりそうです。特に、年収が多い、ライフプラン上大きな出費もない、負債もそれほどないのに貯まらない人は、おカネの使い方や持ち方を見直してもよいかもしれません。
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