「父親になる人生」を目指した38歳婚活の顛末 お見合いから2週間で婚約、その後は大喧嘩…

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その夜、昇から私に電話があり、彼は彼で怒り心頭に発していた。

「もう本当に子どもじみていますよ。戻ってきた式場の人も驚いていました。残された自分も恥ずかしかった。なんだか、このまま結婚していいのかなって。家の手付金を払いましたけど、キャンセルしてそれが返ってこなくても、痛い人生勉強だったと思うしかないですね」

その電話を切ったすぐ後に、私は真知子に電話をした。と、真知子も怒りが収まらずにいた。

「結婚式場の人の前で、お義母さんがこの結婚をよく思っていないとか、言ってほしくなかった。おカネのこともそうですけど、頑固で、自分が言ったことは絶対に譲らないし、私の気持ちを考えてくれない。私、もしこの結婚がダメになったら、もう一度鎌田さんのところでお見合いするので、よろしくお願いします」

思い立つとなんでも行動を起こすのが早い昇、一方普段はほんわかとしているが負けん気の強い真知子。私は“すわ、婚約破棄か!”と、ドキリとした。

紆余曲折を乗り越えて夫婦になっていく

しかし、そこから数日後、昇からメールが入った。

「いろいろお騒がせしてすみませんでした。自分はどうやら真知子さんに心底惚れてしまったようです。昨夜、仲直りをしました」

昨夜、いったい何があったのか。

その日から3日後に、昇は海外出張に行くことになっていた。3週間は帰ってこない。「その前に仲直りがしたい」と真知子は思ったようだ。昇の会社の前のガラス張りのカフェで、仕事を終えて彼が出てくるのを待ち伏せした。それを知らずに会社から出てきた昇は駅に向かって歩き出した。と、後ろから、「ごめんよ!」「ごめんよ!」と言いながらぶつかってくる女がいたという。

そのときの様子を、昇は私にこう話してくれた。

「“なんだ、失礼なヤツだな”と思って振り返ったら、真知ちゃんだったんです。自分と目が合うと、『ごめんよ!』とまたぶつかってきた。なんだかその様子がかわいらしくて、愛おしくて、その場でギュッと抱きしめてしまいました」

お見合いから2週間で結婚を決めた。そこからは私が知る限り、お世話した会員の中でも一番のドタバタ劇を繰り広げた2人だったが、お見合いしたエイプリルフールからちょうど1年後の4月1日に、誠の入籍。

そして、4月の吉日に結婚式を挙げた。そのとき真知子のお腹の中には、小さな命が宿っていた。

この夏、2人は父と母になる。

おめでとう。思いやりあふれるあたたかい家庭をつくってね!

鎌田 れい 仲人・ライター

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かまた れい / Rei Kamata

雑誌や書籍のライター歴は30年。得意分野は、恋愛、婚活、芸能、ドキュメントなど。タレントの写真集や単行本の企画構成も。『週刊女性』では「人間ドキュメント」や婚活関連の記事を担当。「鎌田絵里」のペンネームで、恋愛少女小説(講談社X文庫)を書いていたことも。婚活パーティーで知り合った夫との結婚生活は19年。双子の女の子の母。自らのお見合い経験を生かして結婚相談所を主宰する仲人でもある。公式サイトはコチラ

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