38歳の進藤に、ちょうど合いそうな自会員がいた。都内の会社に勤める春野真知子(35歳、仮名)だ。進藤に真知子のプロフィールを見せると、「会ってみたい」という。真知子も、「ぜひ」ということで、昨年の4月1日にお見合いを組んだ。
「エイプリルフールがお見合いだなんて、ウソから出たまことの結婚になりますかね」
お見合い前はジョークを言っていた進藤だったが、真知子に会うとひと目で気に入ったようだった。真知子も進藤を気に入り、さっそく交際に入った。
4月1日が土曜日だったのだが、翌週はウイークデーに仕事終わりでデート。季節柄、夜桜を見に行ったようだった。その後、週末にデート。すると、週が明けてその週末に、「彼女にプロポーズをする」と、進藤が言い出した。
「えっ、もう? 早すぎるんじゃないの?」と言う私に、「僕はもう彼女で決めていますから」と言う。真知子に意思確認をしたところ、「はい、私も彼からのプロポーズを受けます」と言うではないか。
なんと2人は、出会ってから2週間で結婚を決めてしまった。
快進撃から一転の「嫁姑問題」
あっぱれな快進撃だったが、そこからドタバタ劇が始まった。
幸せいっぱいで成婚退会していった進藤から、私に連絡が入った。
「なんだか母がこの結婚にいい顔をしないんですよ。自分もいい年なんで、手放しで喜んでくれるのかと思ったら、母親が、『えっ、なんで結婚するの?』と言い出して……」
進藤は両親が離婚しており、母と実家暮らしだった。長兄はすでに結婚をしていて子どもがおり、近くに別世帯を構えている。これまで一緒にいた次男坊が結婚を機に出ていくのは、母にしてみたらひとり取り残されるような気持ちだったのだろう。
そんな母をなだめながらも、2人は結婚に向けての具体的な準備を着々と進めていった。
と、今度は、真知子から連絡が来た。
「先日、昇さんのおうちに結婚のごあいさつに行ったんですね。私、お母さまからあまり歓迎されませんでした。私が持っていったお菓子を、『私、こんなの食べないから、隆之(昇の兄、仮名)が家に持って帰って、みんなで食べて』と、渡しちゃったんですよ」
あいさつを終えて駅に向かうまでの道すがら、真知子は昇に、「お義母さんのあの態度はないんじゃない?」と言った。すると昇は、「母親は、子どもがそのまま大人になっちゃったような人で、悪気があるわけじゃない。真知ちゃんが大人になってうまくやってほしい」と。
真知子は、私に言った。
「なんでお義母さんの肩を持つんだろう。この人は、結婚して嫁姑問題が出てきたときに、私じゃなくてお義母さんの肩を持つのかしら、と思っちゃったんですよね」
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