また、今週末以降、米国企業の4~6月期の決算発表が徐々に本格化するが、今のところ最終利益の前年比はアナリストの平均で2割増が見込まれている。これは法人減税の押し上げ効果が大きく、その分を割り引く必要があるが、減税効果を除くと10%に近いヒトケタ増益だと推察される。こうした小幅ながら堅調な増益基調は、このところのペースに沿うものだ。
トランプ政権が今のままの強硬姿勢を持続するかどうかも疑義がある。実際、鉄鋼・アルミ製品に対する追加関税に関しては、6月20日に日本製品を含む一部製品について、関税の適用除外が公表された。今回の対中制裁でも、7月6日にUSTR(米通商代表部)は、特定の製品を対象から外すかどうかについて、米国企業からの申請を受け付け、関税の適用除外を行なう可能性があると表明している。
この背景として、米国内で現在の通商政策について、反対の声が上がり始めていることが挙げられる。たとえば米企業については、オートバイのハーレー・ダビットソン社は、欧州からの報復関税を受けて、生産の一部を国外移転すると6月25日に表明した。また自動車のGMは、同29日に自動車と自動車部品に追加関税を課す方針に反対する旨の意見書を、商務省に提出している。政界でも、欧州や中国による報復措置により打撃を受けそうな産業(オートバイ、ウイスキー、大豆など)が主力の州の、州知事や選出議員から、抗議の声が上がっていると報じられている。
こうして米政権が強硬姿勢をいくばくか軟化させる展開が進めば、その分だけ内外株式市場が一息つく余地が拡大するだろう。
むしろ日本の内需が気がかりだ
一方、このところ、日本の株式市場の目も、一時の欧州の政治情勢や、米政権の通商政策、中国株価の下振れなど、海外要因ばかりに向けられてきた。ただ、筆者は、日本の内需、とりわけ個人消費の行方が気がかりだ。
5月の個人消費動向は、特に不振だった。小売や外食企業の既存店売上高の前年比をみると、4月よりも伸びが低下した企業が数として優勢だった。またすでに発表された5月の景気ウォッチャー調査をみても、指数が軟調に推移し続けていることもさることながら、回答者のコメントのなかで、ゴールデンウィーク後の景況が極めて悪いことが指摘されていた。これは、ゴールデンウィークでは、さすがにせっかくのお休みなのでおカネを使ったが、それで財布の中身がさびしくなったので、その後は一気に財布の紐を締めた、ということなのだろう。
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