「4代目ジムニー」に感じた5つの率直な疑問 走りやメカニズムはどれだけ進化したのか

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660㏄のエンジンを積む、新型ジムニーのラダーフレーム(筆者撮影)

「ハイブリッド車の検討はしたが、悪路を走破するなどハードユースにおける信頼性の確保、またメンテナンス性などを考慮し、そしてなによりもジムニーというクルマの商品性を第一に考えた結果としてハイブリッド車は設定しなかった」というのが答えだ。

ジムニーには、専用チューンのR06A型ターボエンジンを搭載。先代モデルのK6A型エンジンと比べて、最大出力は同じで最大トルク値は下がっているが、実際の走行ではトルク感が上がっている。

また、ジムニーシエラにはインドネシアで発売しているエルティガに搭載している1.2リッターエンジンを1.5リッターに拡大した専用エンジンK15B型を採用した。

今どき4ATなのはなぜ?

疑問3)なぜ、5MT(5速マニュアルミッション)と4AT(4速オートマチック)を継承したのか?

MTにしろATにしろ、最近はトランスミッションの多段化が進んでいる。燃費や走行性能、走行感などの向上に効くからだ。そんなご時世に5MTはともかく、ATで4速しかないというのも珍しい。なぜ、先代モデルと同じ形式を継承したのか?

トランスミッション設計担当者に聞いた。

その回答は単純明快。「これより大きいと、車体のスペースに収まらない」からだ。

新型ジムニーは伝統のFR(後輪駆動)レイアウトと機械式副変速機付きのパートタイム4WDを採用している。実物を見るとよくわかるが、進行方向にエンジンが縦置きされ、その後ろにトランスミッションがあり、そこからドライブシャフトが出て、機械式副変速機につながっている。

トランスミッションがこれより大きくなると、物理的に後輪を駆動させるためのドライブシャフトを配置できなくなるのだ。実際、6MTや5ATも設計段階では検討したが、既存品では大きすぎて、また新規に小型のトランスミッションを開発するにはコストがかかりすぎるため断念したという。

ただ、当然ながら先代モデルと比べてトランスミッションの改良は行っている。5MTでは、最終ギア比や各段ギア比を見直して、高速走行での回転数の低減などを行った。4ATのギア比は先代モデルを継承したが、3速と4速でよりダイレクトなつながり感のあるロックアップを行うことで、高速道路での追い越し時などにスムーズな加速を実現した。

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