スズキ「ジムニー」刷新が20年ぶりだった事情 世界のプロも御用達、「本格」4WDの実力とは

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実際、ジムニーの“本物”へのこだわりは強い。最近はアウトドアブームで街乗りもしやすいSUV(スポーツ多目的車)の人気が強いが、ジムニーはそれらと一線を画す。こうしたSUVは一般的な乗用車と同じ構造で、ボディとフレームが一体化した「モノコックボディ」を採用している。モノコックボディだと、悪路で大きな衝撃が加わった場合、ボディ全体で衝撃を受け止めるため、車体全体が歪み、最悪の場合は走行不能になる可能性もある。

スズキの新型ジムニーが採用するラダーフレーム構造。衝撃に強く、耐久性にも優れる(撮影:尾形文繁)

だが、ジムニーはトラックなどと同じ「ラダーフレーム構造」を採用している。この構造はフレームの上にボディが載った形をしており、はしご状に組んだ頑強なフレームが衝撃を吸収する仕組みで、衝撃に強く耐久性に優れているのが特長だ。今回はさらに、先代に比べねじり剛性を約1.5倍に向上させた、より変形しにくい頑丈なラダーフレームを新開発した。

もっともこうした本格4WDは世界でもそうそうたるメーカーが投入している。39年ぶりにフルモデルチェンジした独メルセデス・ベンツ「Gクラス」は世界トップレベルの走破性能を誇り、ほかにもフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)の「ジープ・ラングラー」、トヨタ自動車「ランドクルーザー」や「ハイラックス」などが居並ぶ。

ジムニー誕生の立役者は修会長

ただ、いずれも排気量が大きく、車体は大型で販売価格も高価だ。これに対して、スズキのジムニーは発売以来、世界的に見て類のない小さな本格4WDとして、取り回しのしやすさやリーズナブルな価格で比肩するライバルはいない。まさにスズキを世界的な4輪車メーカーに格上げしたのが、ジムニーと言っても過言ではない。

左から初代、2代目、3代目の順番に並んだ歴代のジムニー。代を重ねても基本構造は踏襲されている(撮影:尾形文繁)

そのジムニーを見いだしたのが現在の鈴木修会長だ。まだ常務だった東京駐在時代に、4WDの軽自動車を造っていた「ホープ自動車」を知り、そのユニークな車に一目ぼれ。製造権を買い取ってスズキ流アレンジを加えた。参考にしたのがジープだ。車体にはほとんど丸みがなく、ゴツゴツしたデザインが強烈だったという。ホープの車を基にスズキがエンジンも含め改良を重ねて完成。車名はジープ型の軽自動車として「ジープ」と「ミニ」を合成し、「ジムニー」にしたのが始まりだ。

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