日本株が「半端ない」反発になる「2つの条件」 株式市場も「梅雨明け」に向かっている?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ここで信用取引をしている投資家がどれくらい含み損益を抱えているかをあらわす「信用評価損益率」を押さえておく必要がありそうだ。なぜなら相場全体の地合いをみる重要な指標のひとつで、市場全体の買われすぎや売られすぎを推し量るモノサシとなりうるからだ。信用取引は金利も掛かるため短期売買が大半であることから、含み益が出ればすぐに手仕舞う。したがって、未決済の買い残はマイナス評価(含み損)となっている。信用評価損益率は-5%~-20%の間で推移する傾向がみられるため、相場の天底を推し測ることもできる。

個人投資家の「損切り」も追い風に?

6月29日申込時点での信用評価損益率は-11.5%。投資余力のある投資家は6ヵ月期日を気にせずに買い建てた株式を「現引き」すれば良いが、投資余力の限られる投資家は損失が拡大した場合に強制決済売りを迫られる。そんななかで7月2日に日本株が大幅安になったのは日銀短観や中国経済不安なども考えられるが、需給面では長期投資家の損益分析とされる200日線(2万2104円:7月2日時点)を下回ったことによる現物売り、高値期日を迎える信用売りが重なったことも指摘できよう。

しかし、7月中旬からは国内企業決算が始まる。業績面から日本株の見直し買いも期待される。また、前出のように7月下旬には信用取引における高値期日(6ヵ月)が明けてくることから、戻り売り圧力も徐々に和らいでくるのではないか。7月初めの株安で信用評価損益率の直近値も売られすぎのメドとされる-15%前後まで悪化していることも想定され、損失限定の売りが進んだことも考えられる。

7月3日と4日の日経平均株価はもうひとつの長期線とされる52週線(2万1731円:同)前後で下げ渋りをみせている。なお、前回のコラムでもお伝えした市場全体の株価体温計といえる騰落レシオも80%前半まで低下。相場の底値圏といわれる70%前後に近づいている。

日本株は「半端ない反発力」をみせ、遅めの梅雨明けとなるのだろうか。7月相場は、テクニカル面での売られすぎを示唆する①信用評価損益率-15%前後、②騰落レシオ70%前後がそろえば、信用の高値期日明けも後押しして、戻りを強める展開が想定される。

最後に今後の日経平均株価のテクニカル上の重要な価格をあげておこう
(7月4日時点)。

2万4124円  2018年1月高値(年初来プラス5.9%)
2万3098円 週足のマド(2018年2月)
2万3002円 2018年5月戻り高値
2万2764円  2017年末値
2万2453円  25日線(短期線)
2万2178円  75日線(中期線)
2万2128円 200日線(長期線)
2万1801円 半値押し(3月安値2万0617円から5月高値2万3002円の上げ幅に対して)
2万1731円 52週線(長期線)
2万1717円  7月4日終値
2万1330円 25日線-5%(短期的に売られすぎの水準)
2万0617円  2018年3月安値(年初来マイナス9.4%)

中村 克彦 みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

なかむら かつひこ / Katsuhiko Nakamura

IFTA国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)、日本テクニカルアナリスト協会(NTAA)評議員。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事