「抜け毛が多い人」が知らない洗髪の流儀 熱めの「お湯シャン」と「きっちり乾燥」が重要
1日の汚れ(といっても、主に、皮脂と頭皮の古くなった細胞)が頭皮に溜まるため、朝より夜に、洗髪した方がいいと思われがちですが、実際のところは特にどちらがいいということはありません。
それよりも大切なのが、シャンプー後は必ず乾かすこと。濡れた状態のまま出かけたり、寝てしまったりしていませんか? これは、頭皮を冷やすことになり、IGF-1が増えにくくなるため、薄毛の原因にもなることが考えられます。すなわち、髪や頭皮をしっかり乾かして、温かい状態をキープしておかなければ、IGF-1は増えてくれません。
たとえば無添加タイプ、ノンシリコンタイプなど今ではシャンプーの種類もたくさん開発されていますが、どのシャンプーを使っても髪を増やすことはできません。シャンプーは皮脂を過剰に取って、頭皮を荒らすので、髪の毛が抜けることはあっても、増やすことなど絶対にありません。
「頭皮と髪の関係は、よく土壌と農作物に例えられますが、肥えた土壌(頭皮)でないと、おいしい農作物(髪)は育ちません。芸能人でも、シャンプーを全く使っていない人もいるそうですから、この機会にシャンプーなしでお湯だけで洗う『湯シャン』に挑戦してみてほしいですね」(岡嶋先生)
育毛剤とマッサージの相乗効果で育毛を促進しよう
育毛剤という名前から、使えば髪がフサフサ生えることを期待してしまいますが、育毛剤の使用で大幅に薄毛が改善することはないのが実情です。抜け毛に悩んでいる人が使い続け、数ヵ月後に抜け毛が減っていると感じられたら、それは「効果あり」とみなされます。育毛剤とは、これ以上抜け毛を増やさないようにするためのものなのです。
さて、育毛剤の効果を上げる方法ですが、夜に頭皮をマッサージしながら塗ってみてください。就寝中はIGF-1が増えるため効果が現れやすくなります。また頭皮に刺激を与えると、血行がよくなり頭皮が柔らかくなるため、IGF-1も増やすことができます。必ず「育毛剤を塗る+マッサージ」はセットで行ってみてくださいね。5~10分程度、髪の薄さが気になるところや、耳の後ろのくぼみにあるリンパ節を中心に刺激しましょう。
唐辛子エキスや、唐辛子の辛味成分カプサイシンが効き目あり!?
育毛剤の成分ですが、知覚神経を刺激する唐辛子エキスや、カプサイシン入りのものがおすすめです。この成分は副作用がないため安心して使えます。一方で絶対に使ってはいけないのが、かゆみ止めなどに使われることの多い「抗ヒスタミン剤」です。これは育毛どころか脱毛を引き起こしうるため大変危険です。たとえ「医薬部外品」という表示があっても、安易に選ばず、自分の目で成分をしっかりと確かめてから購入することをおすすめします。
岡嶋研二(おかじま・けんじ)先生
1978年、熊本大学医学部卒業。1982年、熊本大学大学院医学研究科修了(医学博士取得)。日本学術振興会特定国派遣研究員としてウィーン大学医学部への留学、熊本大学医学部助教授、そして名古屋市立大学大学院医学研究科教授を経て、2012年4月、名古屋Kクリニックを開院。血液学を中心に研究を進め、育毛作用を有するインスリン様成長因子-1(IGF-1)を増やす新たな方法を見いだし、育毛効果を発揮する治療法の開発へと応用している。
(取材・文/荒井さやか)
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