ゴミの中で孤独死寸前、元会社員が陥る危機 70代元キャリアウーマンの「大変な生活」
毎年死人が出る新宿の“孤独死アパート”
東京都新宿区の一等地に“孤独死アパート”と呼ばれるアパートがある。
電気メーターをひとつひとつチェックしていくのが、このアパートの大家である藤田幸則さん(仮名・41歳)の仕事だ。
「本当はスリッパを履かなきゃいけないのですが、汚いんで、いつも土足で上がっていくんですよ」
藤田さんはうんざりした顔でそう言うと、靴のままズカズカと廊下に上っていった。築50年のアパートがギシギシと揺れる。
全15世帯。風呂、トイレなしのアパートで、家賃は3万円~5万円。昔からの住人は家賃を上げられないために幅があるのだという。今は1部屋を除いて満室で、そのほとんどが生活保護の受給者だ。このアパートでは最近だと、ほぼ1年ごとに孤独死が起こっている。
ここでは孤独死は、ありふれた出来事なのだ。そのため、本来であれば次の入居者には告知すべきところだが、あまりに日常茶飯事のこととあってか、次の入居者に一切告知もしていないのだという。
「毎月、電気メーターの確認に行くんです。それでメーターが回ってないと、あぁ、孤独死してるなってわかるんです」
メーターがしばらく回っていないことが分かると、藤田さんはすぐに警察を呼ぶ。グロテスクな現場が苦手な藤田さんは、できるだけ遺体を見ないようにしている。部屋の中に入ってから確認する手もあるが、それだと腐敗した遺体を目にしてしまうからだ。