頭ポンポンする男はモテるという大きな誤解 「男は女におごるべき」の風潮にもモノ申す

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犬山:「男性が女性におごらなければいけない」という固定観念も、今の時代にはそぐわなくなってきましたよね。女性のほうが稼いでいる場合だってあるのに、男性が必ずおごらなければいけないという考え方がいまだに存在する。なかには、男性に貸しを作りたくないから、おごられたくないという女性だっている。だから、この常識はもう捨てたほうがいい気がしています。

宮崎:そこらへんは、僕もまだ古い価値観が残っていて、やっぱり女性と食事をしたら、全額おごるか、もしくは7対3くらいの割合で多く払わなければいけないと、どうしても思ってしまう自分がいます。

宮崎 智之(みやざき ともゆき)/1982年生まれ。東京都出身。地域記者、編集プロダクションなどを経て、フリーライターに。カルチャーや男女問題についてのコラムのほか、日常生活の違和感をつづったエッセイを、雑誌、Webメディアなどに寄稿している。ラジオなどのメディア、イベント出演も多数。著書に『モヤモヤするあの人~常識と非常識のあいだ~』(幻冬舎文庫)など(撮影:菊岡 俊子)

犬山:もちろん好きでおごっているなら、それはいいんです。でも、「男だから、おごらなきゃ」という圧力によっておカネを出しているのだとしたら、それはおかしい。合理性がまったくなく、意味がわかりません。男性のほうがたくさん食べたり、飲んだりすることが多いなら、そこは考える必要があるけど。

宮崎:僕はお酒も飲まないし、食も細いので、居酒屋では300円くらいのお新香をずっと食べてます。

犬山:私、めちゃくちゃ飲んだり、食べたりするから、宮崎さんと飲みに行ったときは多めに払いますね(笑)。

宮崎:ありがとうございます(笑)。

犬山:仮に、「この人はおごってくれなかったから、付き合うのはありえない」と言う女性がいたとしたら、そういう女性は切っちゃっていいと思うんですよ、男性は。「ありえない」と言われることが怖くて無理して男性がおごるのは、女性がセクハラを笑顔でやり過ごすのと同じ構図だと思います。

宮崎:確かに、取るべき行動が性別で決められてしまうという意味では、セクハラに近いのかも。ちょっとモヤモヤするけど、その場を穏便におさめるために全額おごるという男性もいるでしょうし。

「呪い」から解き放たれたほうが、絶対に楽になる

犬山:もちろん全体の平均をとると、男性のほうがまだまだ稼いでいます。でも、個別で見れば、そうではないケースはいくらでもあります。ケースバイケースで考えればいいだけのことで。

宮崎:本当にそのとおりですね。

『アドバイスかと思ったら呪いだった。』(ポプラ社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

犬山:女性も男性も、これまで話してきたような「呪い」から解き放たれたほうが、絶対に楽になると思うんです。そのほうが生きやすくなる。人は人、自分は自分。まずはそのことをしっかりと意識して、自分の常識を人に押し付けない。そして、その人がどういうことを求め、どういうことで喜ぶのか、話をきちんと聞く。そういう当たり前のことから、始めなければいけないと考えています。そのうえでするアドバイスはクソバイスではなく、相手のことを本当に思っている助言だと思います。

宮崎:僕もその「呪い」にかかっている一人だということを自覚して、これからもモヤモヤを言語化していきたいと思います。モヤモヤを言語化したその言葉こそが、呪いを解く呪文になるかもしれないのですから。

(撮影:菊岡 俊子)

宮崎 智之 フリーライター

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みやざき ともゆき / Tomoyuki Miyazaki

1982年生まれ。東京都出身。地域記者、編集プロダクションなどを経て、フリーライターに。カルチャーや男女問題についてのコラムのほか、日常生活の違和感を綴ったエッセイを、雑誌、Webメディアなどに寄稿している。ラジオなどのメディア、イベント出演も多数。著書に『モヤモヤするあの人~常識と非常識のあいだ~』(幻冬舎文庫)。

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犬山 紙子 イラストエッセイスト

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いぬやま かみこ / Kamiko Inuyama

1981年生まれ。トホホな生態を持つ美女たちを描いたブログ本でデビュー。『SPA!』や『anan』などにも連載を持ち、テレビやラジオなどにコメンテーターとしても出演中。著書に『アドバイスかと思ったら呪いだった。』(ポプラ文庫)、『私、子ども欲しいかもしれない。』(平凡社)など多数。

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