反抗期の子との信頼関係を生む「会話の本質」

中高生の子に「勉強しろ」が逆効果である理由

それは、子どもと「雑談をする」という方法です。

「え? 何? そんなこと?」と思われるかもしれませんが、実はこれには深い意味と仕組みがあるのです。

子どもが親の言うことを聞き入れる状態になるためには、その前提として子どもが「親を信頼している」ことが必要です。親は子どもから信頼されていると思っているかもしれませんが、実はそうとも言えません。

特に子どもが中学生ともなれば、自我が確立し、思春期を迎え、いわゆる反抗期という段階にあります。反抗期というのは、まさにそれまで親の命令、指示によって行動してきたことが、自我が芽生えたことによって、そのような上下関係に対する反抗とも言えるのです。

信頼関係の問題

基本的にこの信頼関係というものは、コミュニケーションの量に比例して高まると一般に言われています。中学生、高校生ともなると、子どもは親とあまり話をしなくなることが多いですよね。ということは、信頼関係が希薄になっている可能性があります。親は子どもの小さい頃の様子を知っているので、まさかそんなことはないと思うかもしれませんが、実は信頼関係に問題があるケースが少なくないのです。そして信頼関係が希薄であると、親の言うことを聞き入れることはありません。

ここで「では、子どもとコミュニケーションをとらねば」と思ったかもしれませんが、実はここに非常に重要なことがあります。それは「勉強に関する話でいくらコミュニケーションをたくさんとっても逆効果にしかならない」ということです。企業で言えば、上司部下の関係で、仕事のテーマでいくらコミュニケーションをとっても、信頼関係の構築には貢献しないということと同じことです。

なぜだと思いますか?

親子における勉強の話題、上司部下における仕事の話題は、そもそもそこに「上下関係が存在している」からなのです。親や上司がいくら、気楽に話をしていても、子どもや部下はそれを指示・命令と受け取ります。ですから、このようなテーマでは、信頼関係は築かれないのですね。

一方の「雑談」をテーマとした場合はどうでしょうか。雑談には、上下関係は存在しません。上下関係のない話題で、話をすることによって、お互いに共通のテーマができ、それをきっかけに信頼関係を築いていけるのです。信頼関係ができれば、少しずつ助言なども聞き入れるようになっていきます。

雑談内容は意味がなくてもいいのです。たとえば「親のしょうもない失敗談」や「今日食べたランチがまずかった話」や「暑さ」についてでもいいのです。それをきっかけに話が膨らんでいきます。

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筆者が学習塾の講師として子どもたちを指導していたとき、どのようにして子どもたちと信頼関係を築いていったか。それは、勉強を指導している時間内ではなく、指導していない時間においてでした。つまり、授業が始まる前、休み時間、授業後、この3つの時間帯に、子どもたちと雑談をするのです。

テーマは勉強以外であれば何でもです。たとえば、いちばん簡単な話題は「部活」です。これは生徒が話しやすいのです。それ以外に、「最近学校どう?」とか「この前聞いた面白い話」などします。この時間に話をすると、授業がとてもやりやすくなるのです。これが信頼関係を築くということ、そしてその本質なのです。

ぜひ、3つの前提を心得ていただいたうえで、「雑談」をテーマとしたコミュニケーションをたくさんとってみてください。事態はきっと好転するはずです。

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