ペットの病気、「安楽死」というタブーの真実

言葉自体タブーかもしれないが選択肢はある

自由診療は飼い主と医療機関との間で個別に契約を行い、その契約に基づいて行われる診療だ。その場合おカネの話をするのは必須だと思えるが、来院する飼い主の多くは、自ら治療費の話は切り出さない。また飼い主に対し、積極的におカネの話をしない獣医も多い。

「『おカネはいくらかかってもいいから、この子の命を助けてください!!』と言われる人がたくさんいらっしゃいます。

気持ちはわかります。ただ、結果的に払い切れなくなって困る人もいらっしゃいます」

治療費はケース・バイ・ケース

ただし「治療にいくらかかるか?」と聞かれても症状はケース・バイ・ケースなので正確には答えられないという。

峰動物病院(筆者撮影)

その場合、沖山さんはこれまでの経験からの大体の概算を教えるようにしている。

以下、一例を挙げると、

初診料2000円、診察料1000円を払って診察してもらう。単純な下痢などの症状ならば、治療費3000~4000円で終わる。

よりきちんとした検査が必要だとわかると、エコー検査3000円、レントゲン4000円、血液検査7000円、と合計1万4000円がかかる。

そしてそのまま入院になると、まず入院費がかかり、点滴代などが必要。さらに呼吸器系・循環器系の病気などで酸素室に入る必要がある場合は酸素代など上限なく値段がかかっていく。酸素室を使う状態では一日で5000円ほどかかり、もし1カ月連続で使えば15万円にもなる。

「われわれとしては飼い主の皆さんに、ペット保険に入っておいていただけると嬉しいですね。遠慮なく治療ができますから。でも保険に加入している飼い主さんは、全体の5分の1くらいですね」

ペット保険は1万5000~3万円くらいの商品が多い。もちろん額が高いほうがより多くの治療がカバーされる。ただもちろん治療にかかるすべてのおカネが払われるわけではない。30万円かかった場合は15万まで、高額の手術をやった場合は10万円まで、など上限が決まっている。すべてが自由診療なので、保険会社側が上限を決めるのは当たり前だ。

「結果的に治療費が払えなくなり、月賦で払っている飼い主さんもいらっしゃいます。子どもの進学などおカネがかかる時期にペットが病気になり、非常におカネに困ったという飼い主さんもいらっしゃいました。

中には初診で来て『おカネないんです』って言う飼い主さんもいました。そういう場合は踏み倒されることが多いのですが、見捨てるわけにもいきません。病院としては非常に困ったことですが、踏み倒されたら踏み倒されたで仕方がないなと諦めて治療しています」

愛するペットのためどこまでもおカネをかけてあげたいと思うのは飼い主なら当たり前の気持ちだ。だが、おカネは有限だ。自分の懐具合と相談するのは決して悪いことではない。むしろおカネの相談をするのは当たり前だ。だがその当たり前がなかなか難しい。

次ページ沖山先生の印象では…
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